突然届いた粋な「40個」 “レジェンド”から1本の電話…高川学園主将の忘れぬ感謝

高川学園・遠矢が甲子園で8打数6安打7打点の大活躍
第107回全国高校野球選手権は16日、大会第11日目が行われ、第1試合で高川学園(山口)は日大三(西東京)に4-9で敗れた。「4番・捕手」で出場した遠矢文太(とおや・ぶんた)主将(3年)は、3打数3安打2打点の活躍。大舞台で躍動した背景には、レジェンドOBからのプレゼントと指導があった。
初回からバットが火を吹いた。1死一、三塁の場面で打席を迎えた遠矢が中前適時打を放ち先制。さらに6点を追う3回にも無死一、二塁で左翼へ適時打。3打席目は四球を選び、第4打席でも中前打を放ち全打席出塁した。初戦の未来富山戦でも、第1打席で本塁打を放つなど5打数3安打5打点の大暴れ。甲子園の2試合で8打数6安打7打点1本塁打、打率は驚異の.750を残した。
そんな主砲の活躍の裏にはレジェンドOBとのやり取りがあった。高川学園(旧:多々良学園)にはOBに大洋や横浜で活躍した高木豊氏がいる。高木氏とチームは昨年から交流があり、遠矢も2年時から指導を受けていた。
「ずっと声をかけてもらって、夏の大会前にも指導していただきました。期待してくださっていたので、教えてもらった事が結果に現れて嬉しかったです」
初戦の2日前に届いた大量のプレゼント
実は山口県大会で優勝した際、高木氏から一本の電話があった。「何がほしい?」。祝福の言葉とともに聞かれた差し入れのリクエストに「バッティンググラブが欲しいです」と遠矢は答えた。
すると初戦の2日前、宿舎に白と黒のバッティンググラブが20個ずつ、計40個が届いた。高木氏からの突然の差し入れに部員たちは歓喜。「こんなん貰えるの?」「めっちゃええやん!」「ちょうど欲しかった」と思い思いに喜びを口にした。
遠矢は初戦からすぐに黒色のバッティンググラブを使用し、2回戦でももちろん身につけてプレーした。「高木豊さんのパワーを貰えたんじゃないかなと思います」。真剣に受け答えしてきた主将の顔がほころんだ瞬間だった。
高木氏からかけられた言葉も成長の力となった。「お前が打たなきゃ勝てないという言葉を覚えています。4番が打てばチームに勢いが出るので。今も心に残っています」。
卒業後の進路は大学進学を明言。「もっと上で戦いたい。もっともっと上に行きたいと改めて感じました」。甲子園に続き、プロ野球選手という、もうひとつの夢を叶えるため進み続ける。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)