コーチングで感じた野球の本質 GG佐藤が米国武者修行で実感…日本との差異

GG佐藤氏がポッドキャスト番組「Full-Count LABー探求のカケラー」に出演
西武やロッテなどで活躍し、明るいキャラで人気を博したGG佐藤氏(本名・佐藤隆彦)は法大卒業後、フィリーズ傘下1Aでの3年間の武者修行を経て、2003年ドラフト7位指名で西武に入団した。ポッドキャスト番組「Full-Count LABー探求のカケラー」で米留学期間を振り返り、日本の野球とは「大きく違った」と振り返った。
法大4年時に入団テストを経て、2001年3月に「英語はまったく話せない」ながらもフィリーズ傘下1Aのキャンプに参加した。言葉の壁や食事環境、不慣れからくる疲労感で体重も激減したが「辛いよりもプロになりたいという情熱が勝っていた」。真剣に、楽しく野球と向き合った。
「アメリカで本当に野球が上手くなったんですよ。大学で補欠だった男が(日本で)プロに行くまで」。上達の“近道”は学生時代とは比較にならない試合数の多さだったという。
「大学生の公式戦は20試合くらい。それが補欠だったら出られても1、2試合。上手くなるわけないですよ。アメリカに行ったら年間100試合ぐらいですかね。自然と上手くなりました。1000本の素振りよりも、たった1打席から学ぶことってめちゃくちゃ大きいので、実戦あるのみですね。日本も試合をもっと増やした方がいいですよね。特に学生は試合数が少なすぎます」
学業や試合環境などの兼ね合いもあるが、実戦経験が飛躍的なレベルアップにつながると力説した。さらに指導者の選手への関わり方も日本とは違ったという。打撃コーチは朝一番に練習施設に来ているが、何も教えることなく静かに練習を見守っているだけだった。
コーチから「求めてこないものに対して教えても意味がない」
「お前仕事しろよ。こっちは打ってんじゃん」。当初はそう思っていたが、ある時にタイミングの取り方を聞きに行くと「待ってましたと言わんばかりに僕の資料を出してきたんです。いいとき、悪いときの連続写真などあらゆる資料を見せながら説明してきたんです」。
佐藤氏が質問に行かなければ、膨大な資料は“お蔵入り”になっていたという。コーチは「求めてこないものに対して教えても意味がないだろう。答えはあなたの中にあるし、あなたが決めなさい」と諭されハッとした。「そういう文化でした。自分の人生、自分で決めていいんだという感覚になりました。もちろん、日本のやり方にもいい部分はあって、それが合う人もいるけど、自分に選択肢があるというのは、僕の中ではすごく良かったです。日本とアメリカは大きく違いました」と回顧した。
選手一人一人に対して、コーチはあらゆる角度からアプローチを考察。「指導法をすごく研究していました」。佐藤氏は指示待ちの“受け身”ではなく“自分発信”の生き方を学んだ。プロ選手としての礎を築いた3年間の米留学だった。