横浜との激戦を制した後に熱中症でダウン 祝福の連絡「200件」も…県岐阜商のヒーローを襲った悲劇

県岐阜商・小鎗稜也【写真:加治屋友輝】
県岐阜商・小鎗稜也【写真:加治屋友輝】

延長10回に適時二塁打を放った小鎗が熱中症になっていた

 第107回全国高校野球選手権で16年ぶりの準決勝進出を果たした県岐阜商。19日の準々決勝では、横浜(神奈川)に延長タイブレークの末8-7でサヨナラ勝ち。10回に同点となる3点適時二塁打を放った小鎗稜也(こやり・りょうや)捕手(3年)は翌20日、準々決勝の試合後に熱中症になっていたことを明かした。

 延長11回までもつれた接戦だった。4-4のまま試合は延長戦に突入。無死一、二塁から始まるタイブレークで、県岐阜商は3点を先取され絶体絶命に。3点取れなければ敗退が決まる状況で、先頭の5番・宮川鉄平外野手(3年)が中前打を放ち、無死満塁で6番の小鎗に回ってきた。

「無我夢中」で打席に入った。狙っていたという直球を振り抜くと打球は左中間へ。「打った瞬間、真芯でしたが、抜けるか不安でした。でもすごい歓声で抜けたと分かりました」。同点に追いつく走者一掃の適時二塁打となり、一塁側はお祭り騒ぎ。ベンチに向け高々と拳を突き上げた。

 11回を無失点に抑え、最後は4番・坂口路歩内野手(3年)にサヨナラ打が飛び出し熱戦を制した。興奮は収まらぬままバスに乗り込み、何気なくスマホを取り出すと見たことのない数の連絡が来ていた。「200件ぐらいきてました。帰りのバスでも通知が止まらなくて、今もまだ返し切れていません」と想像以上の祝福に笑顔が溢れた。

 しかし、宿舎に着くと体調が急変した。「帰ってすぐ熱中症で倒れちゃって……。ご飯も全然食べられなくて、頭も痛くなって気持ち悪くて。吐いてしまいました」。一気に興奮と緊張の糸が切れ、すぐにベットに入った。朝起きた時にはすっかり体調は良くなり、ご飯も食べられ一安心した。

 21日に決勝進出をかけ日大三(西東京)と激突する。激戦の勢いそのままに夏を駆け抜ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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