リチャードは「化け物だから」 阿部監督が惚れ込む“潜在能力”…目指す元助っ人のロマン砲

リチャードは4戦3発の量産態勢、直近7日間はOPS1.310
■巨人 8ー1 DeNA(22日・東京ドーム)
なんとも魅力あふれる大砲だ。巨人のリチャードだ。2回無死一塁で捕邪飛に倒れると、4回無死一塁で三ゴロ併殺打。完全ブレーキか思えば、6回2死一、二塁の四球で甲斐の3点二塁打を演出。7回2死一、二塁では右中間へ自己最多タイの7号3ランだ。「気持ちいいです。気持ちいいです。岡本さんと本塁打を打てて良かったです」。足早に帰っていく26歳は、どうも憎めないキャラだ。
4戦3発の量産態勢。直近7日間のOPSは驚異の1.310だ。ソフトバンク時代の昨季まで1軍定着できなかったが、阿部慎之助監督の“英才教育”が実を結びつつある。亀井善行打撃コーチが舞台裏を明かしてくれた。
「インコース(の真っ直ぐ)に弱点があって、外のスライダーにも弱点があった。弱点だらけだったんだけど、最初はインコース、次は外のスライダーと1つずつ弱点を潰していこうと。練習でも監督がものすごく厳しくやっている。監督らしく制約をつけながら。リチャードもしっかり付いていっているね」
リチャードの進化を感じさせたのは、6回の第3打席だ。3球で追い込まれたが、外角の際どい変化球に手を出さずに内角直球をファウルに。最後は8球目、外角低めチェンジアップに手を出さず四球を取った。試合後、阿部監督は「四球は大きかった」と7回の本塁打以上に称えていた。亀井コーチも同じように賛辞の言葉を並べた。
「あの四球はすごいよ。本来なら、あのボールを振っている選手だから。ボールをしっかりセレクトできるようになっている。しっかり自分のゾーンを持てるようになったのでは。成長スピードがすごい」
「インサイドのファウルの打ち方も変わってきている。外の見逃し方も良くなっている。浮いた変化球も打てるようになってきた。本当に、日に日に良くなっているなと思う」
リチャードが交換トレード加入した5月12日時点でチームは36試合を消化。公式戦107試合を残した時点での獲得だった。チームは4番・岡本和真に次ぐホームランバッターが求められている。亀井コーチは「5年連続ウエスタン本塁打王。ファームでやることはもうない。あとは1軍の試合でしっかりやること。監督もきっかけを掴めば、ものすごい打者になるというのはわかっているから我慢している。打席数を与えた時にどれだけ成長できるか」と期待を込める。
亀井コーチが描く近未来「リチャードも化け物だから」
亀井コーチは近未来像も描いている。1987年に最低打率、最多三振ながらも39本塁打を放ってタイトルを獲得した広島のランスだ。
「打率は低いけど、とにかく本塁打を打てる。リチャードも化け物だから。守備うまいしね」
ちなみに、ランスの本名は「リチャード・アンソニー・ランセロッティ」。ファーストネームは同じだ。ここまでリチャードは打率.198、7本塁打、25打点。巨人に加入した今季の100試合ちょっとで、40年ほど前のスラッガーにどこまで近づけるか。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)