試合前に“戦力外通告”、ド軍ロッカーから消えた26歳 わずか1安打…目撃した別れの瞬間

DFAとなったケネディ…打撃は苦戦も守備でチームを支えた
ロッカーでひとり荷物をまとめ、試合前に球場を後にした。ドジャースは25日(同26日)、バディ・ケネディ内野手をDFA(事実上の戦力外)とした。この日は球場に姿を見せ、荷物をまとめながら同僚と別れを惜しんでいた。
26歳のケネディは12日(同13日)にブルージェイズからDFAとなり、15日(同16日)に獲得。マンシーのIL入りを受け、即日メジャー昇格となった。
マイナーオプションのないケネディは、今季はドジャース加入前に3度のDFAを経験。フィリーズではハーパー、ブルージェイズではヒメネスと、主力が復帰するまでの“穴埋め”という立場だった。今回もマンシーの“代役”という形での加入となったが、「与えられた機会に全力を尽くしたい。打席ではアウトを奪われにくい打者になって、手堅い守備をしたい。自分らしさを毎日出して、与えられた機会に対して、ベストを尽くしたい」と意気込んでいた。
ケネディは近鉄でプレーしたドン・マネー氏を祖父に持つ。コロラド遠征の際に祖父のことを質問した際には、「あぁ、バファローズでね!」と球団名を知っており、「母と叔父はその時、日本の学校に通っていた。(祖父は)いつも日本の話を聞かせてくれるんだ」とニコリと笑った。
マネー氏は生活環境など球団の待遇の悪さもあって開幕から1か月で退団することになったが、「バファローズでプレーできたことは、とても楽しかったと言っていた。異なるライフスタイルは、興味深かったと思うよ」と話してくれた。
ビジター7連戦を終えてドジャースタジアムに戻ったこの日、記者がロッカールームを訪れた際には、練習着を着たケネディが「調子はどう?」と笑顔で挨拶を返してくれた。しかしその後、自分のロッカーへ向かうと、ハンガーからウエアを1着ずつ外してカバンにしまっていた。
すれ違うスタッフやチームメートとは握手やハグ。ロッカーの出入口にはケネディのバットケースとキャリーケースが置かれており、着替えを終えると、試合開始2時間前に球場を後にした。その直後に球団がケネディのDFAを発表。試合後には、ケネディの使っていたロッカーからは名前の表示が消えていた。
バットでは結果が出なかったが、ベアハンドスローを披露するなど、意気込んでいた守備で、離脱者が発生したドジャースで“代役”としての役割をこなした。まだ若い26歳。今後の活躍に期待したい。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)