打率.294でなぜ引退? 元助っ人が再来日熱望も…直面した現実「多くの選手がクビに」

明かしたトレンドの“変化”「多くの選手がクビ」
エンゼルス時代は大谷翔平投手と共にプレーし、2023年は西武に所属したデビッド・マキノン氏は昨季限りで引退を決断した。現在はテキサス州ヒューストンで9、10歳の子どもたちを対象とした野球リーグを運営。ポッドキャスト番組「Pacific Swings」も立ち上げている。
昨年には第2児も誕生。引退後も充実の日々を過ごしている一方で、2024年にプレーしたKBOサムスンでは72試合に出場し、打率.294、OPS.767、プエルトリコのウィンターリーグでも好成績を残したものの、望んでいた日本、韓国、3Aでのプレー続行は叶わなかったという。引退決断の率直な思いを明かした。
「寂しいですね。寂しいですよ!」と笑いながら現役時代を懐かしむ。課題だったのは本塁打数。昨季は4発に終わった。「去年はあまりいい成績を残せなかったので。単刀直入に言うと、本塁打が十分ではありませんでした。アジアでプレーするなら、もう少し本塁打が必要です」と、悔しさを滲ませる。オフのウィンターリーグでは好成績をマークし、メキシコや米独立リーグからオファーはあった。しかし、「望んでいた日本か韓国で仕事を貰えなかったです。それ以外なら結構という感じでした」と、振り返った。
同時に考えたのはマイナーリーグの3A復帰。「正直言って、引退しなければいけないほど悪い成績は残したとは思っていません」と語るように、韓国では一定の成績を残していた。一方で、マイナーリーグでは野手が飽和状態。「最近(3Aで)多くの選手がクビになっています。30歳くらいのベテラン投手なら契約してくれますが、野手はあまり契約してくれないんです。仕事にありつけない状況です」と、打ち明けた。
「今の3Aはドラフトされた超有望株で埋まっています。2Aからすぐ昇格するんです。以前のように3AはMLBのバックアップではなく、若手の育成に切り替えていますね」と、“引退理由”を挙げた。実際にドジャースを例に挙げても、MLB昇格を果たしたアレックス・フリーランド内野手は2Aタルサで74試合の出場だったのに対して、3Aオクラホマで133試合に出場していた。
元広島助っ人も煽りを受けた「彼も引退を決断」
若手育成の煽りを受けたのはマキノン氏だけでないという。昨年まで広島に在籍したジェイク・シャイナー氏も引退を決断した。「(日本で)彼は成績を残せなかったのですが、2年前の2023年に3Aで素晴らしい成績を残しました。それでも(3Aから)オファーはありませんでした。私と同じ状況でメキシコでのプレーを拒否して、彼も引退を決断しました。投手は頭数が必要ですから、常に仕事にありつけます。しかし、ベテラン野手はそうではありません。ベテランになる頃には、MLBで実績を残してないといけないのです」と、変化するマイナー事情を解説した。
引退後は、野球リーグを運営しながら「ポッドキャスト番組『Pacific Swings』を始めて、楽しくやっています」と現在の生活を明かす。「米国であまり注目を浴びない選手を紹介できるのは、楽しいことですね。日本人や韓国人のファンには、普段会うことのできない外国人選手の素顔を知ることができます。なんといっても、NPBのファンは選手のことが大好きですからね」と、目を輝かせながら語った。引退後も、また違った形で日本の野球に貢献中だ。
(増井貴志/Takashi Masui)