高橋光成にMLBスカウト辛口「差が大きい」 7失点で課題浮き彫り…指摘した「2つの顔」

オリックス戦に先発した西武・高橋光成【写真:岡部直樹】
オリックス戦に先発した西武・高橋光成【写真:岡部直樹】

2022年オフからポスティングシステムによるメジャー移籍を希望

■オリックス 8ー1 西武(29日・ベルーナドーム)

 どちらが真の姿なのか──。西武の高橋光成投手は29日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦に先発。メジャー7球団のスカウトが視察に訪れていたが、7イニングで今季ワーストの7点を失い、7敗目(5勝)を喫した。

 22日のロッテ戦では8回4安打無失点だった高橋。「いい時と悪い時の差が大きいね。前回登板は非常に良かったし、今季の残りの登板に注目するけれど、現状は“崖っぷち”というところではないでしょうか」。あるMLB球団のスカウトは、匿名を条件に高橋をこう評した。

 28歳の高橋は、2022年のオフからポスティングシステムによるメジャー移籍の希望を球団に伝えている。2021年から3年連続2桁勝利をマークするなど実績を積み重ねていたが、昨季はまさかの0勝11敗、防御率3.87。今季は5勝7敗、防御率2.95(29日現在)と復調傾向にあり、5月には国内FA権の取得条件を満たしたが、仮にポスティングシステムの利用を認められても、メジャー契約などの好条件を得られるかどうかは保証の限りではない。

 前出のMLBスカウトが口にした「いい時と悪い時の差」は、試合の中にも表れた。この日は7イニング中、失点しなかった4イニングは全て3者凡退で片づけていた。

 2回1死一、三塁で“同学年”の宗佑磨内野手に、内角低めの149キロのストレートをとらえられ、右翼席へ先制3ランを運ばれたのが痛恨だった。4回にも杉本裕太郎外野手に左翼フェンス直撃の適時二塁打、若月健矢捕手に右中間を破る2点二塁打を浴びた。

 それでも5、6回の投球に手応えがあったのだろう。6回終了後、交代を考えていた西口文也監督に対し、ひとさし指を立てて“もう1イニング”と直訴し続投を勝ち取った。

 こうしてマウンドに上がった7回は1死から四球を与え、さらに暴投で二進を許すと、廣岡大志内野手に一塁線を際どく抜く適時打を浴びて失点を重ねた。一塁手のタイラー・ネビン内野手が思わず“ファウルではないか?”とアピールしたほど、微妙なコースヒットだった。

「6、7回くらいの雰囲気を序盤から出してほしかった」と西口監督は一定の評価

「6回とか、点数は取られましたけれど7回くらいの雰囲気を序盤から出してほしかったと思いますね。6回で代えようと考えましたが、球数はそんなにいっていなかったし(6回終了時点で86球)、本人も納得していないところがあったので、そこは本人の意志を尊重しました。打たれたところは(ストライクを)取りにいっているように見えましたが、6、7回はしっかり腕が振れていました」と西口監督。決してネガティブなだけの評価ではなかった。

 4回までの66球中、ストレートは20球(30.3%)で平均149.3キロ、最速も151キロにとどまっていた。ところが、5回以降の3イニングは39球中ストレートが半数近い19球(48.7%)を占め、平均も152.7キロにアップし、この日最速の154キロを7度も計測した。

 高橋は「前半は丁寧にいきすぎたかもしれません。後半にパフォーマンスを出せただけに、もっとパワー勝負でよかったのかもしれません」と反省。一方、帰途に就く際、球場駐車場で3ランを放った宗の姿を見つけると、「長打はやめてくれよ!」とおどけながら話しかけ、最後は「ナイスホームラン!」とサムアップして称える好漢ぶりを見せていた。

「今季残り数試合、ハイパフォーマンスを出せるように、1球1球のクオリティにこだわっていきたいです」と気持ちを切り替えた高橋。誰もが納得する投球を見せることができるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY