“働けない”韓国の英雄を放出 23億円の負担は消えるも…球団が拭えない不透明支出要素

本拠地被災と球団売却が重荷に
ブレーブスは1日(日本時間2日)、レイズからウエーバーにかかっていたキム・ハソン内野手を獲得したと発表した。今季は故障続きで戦列を離れており満足に働けない状態が続いていたが、ハリケーンで被災した球場の修繕費に加え、球団売却でも先行き不透明なレイズ側が、コストカットに踏み切ったという見方が強い。
米メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は、ブレーブスがレイズのキム・ハソンをウェーバーで獲得したと球団の正式発表前にこの動きをスクープ。米移籍情報サイト「トレード・ルーマーズ」は、この背景にはキムの年俸に加え、球団経営の事情が絡んでいるとみている。
キムはオフ、レイズと2年2900万ドル(約42億6600万円)で契約。今季は年俸1300万ドル(約19億円)で、契約2年目となる来季は1600万ドル(約23億円)の選手オプションとなっており、行使するかどうかをキム自身が選択することになる。行使となれば、契約を引き継いだブレーブスが支払うことになる。
キムは昨年8月に負傷した肩の手術により、今季は開幕から負傷者リスト(IL)入り。7月に1度復帰したものの、背中の不調で再び2度IL入りし、出場は24試合、打率.214、2本塁打5打点にとどまった。シーズン開幕からまだ5か月程しか経過していないが、球団は手放すことを決断した。
この状況から「MLBトレード・ルーマーズ」は、キムが「オプションを行使する可能性がある」と分析。「そうなれば、来季レイズの年俸総額に1600万ドル分が加算されることになっていただろう。巨額ではないしレイズは来季の確定年俸分は非常に少ないが、チームにとって不確定な要素も非常に多い」と指摘し、背景にある財政面での不安を挙げた。
レイズの本拠地トロピカーナフィールドは昨年、ハリケーン被害を受け、今季はヤンキースのマイナー施設スタインブレナーフィールドを借りている。同サイトは「疑う余地がないこととして、予期せぬコストがかかり収入も普段より減っている」と推測。また、球団は現在売却手続き中で、新オーナー陣が新球場建設に注力する中、チーム編成にかけられる予算も不透明だ。
こうした背景の中で、レイズは「残して来季に期待するよりも放出していくらか節約することを選んだようだ」と同サイトは分析。レイズはワイルドカード争いで完全に脱落しているわけではないが、静かに行われたこの動きには、球団運営の事情が色濃く反映されているといえそうだ。
また、「ジ・アスレチック」のローゼンタール記者は「ブレーブスは今季残りの数週間で、キムのプレーを見ることが可能となる」とみている。ブレーブスはキムの回復を前提に、来季の選手オプション行使を見込んでおり、これによって遊撃手の課題解消につながる可能性があるとの見立てだ。
(Full-Count編集部)