NPB復帰は「足りない部分多すぎる」 ほろ苦の6年ぶり東京D…元巨人右腕の現在地

JR西日本の補強選手として登板した高田萌生【写真:町田利衣】
JR西日本の補強選手として登板した高田萌生【写真:町田利衣】

元巨人、楽天の高田萌生がJR西日本の補強選手として都市対抗出場

 かつての本拠地に帰ってきた。巨人、楽天でプレーした高田萌生投手(ショウワコーポレーション)が、JR西日本の補強選手として第96回都市対抗野球大会に出場。2日のENEOS戦に登板し、1/3回を1安打2四死球2失点でチームは初戦敗退となった。「何回か投げたマウンドなので、また投げたいと思っていました」という東京ドームに立ったのは、6年ぶりのことだった。

 都市対抗野球独自のシステムでもある「補強選手」に選出された。「光栄でした。もっとチームに貢献できればという気持ちはあったんですけど……。でも本当に貴重な経験をさせていただいて感謝しかないです」。7回に4点目を奪われてなおも2死二塁でマウンドに上がると、151キロで一飛に打ち取り火消しに成功。しかしイニングまたぎとなった8回に四死球で走者を溜め、2点適時二塁打を浴びたところで降板となった。

 2016年ドラフト5位で創志学園高から巨人に入団。2018年にプロデビューを果たしたのが東京ドームだった。2019年にも2試合に登板。2020年の開幕直後に楽天にトレード移籍し、2023年限りで戦力外となった。通算10登板で未勝利(2敗)、防御率9.61だった計7年間のプロ生活を「もがいてばかりだったんですけど、厳しさだったり、普通はできないような経験をたくさんさせてもらいました」と振り返った。

 2018年にはイースタン・リーグで最優秀防御率、最多勝、最高勝率の“投手3冠”に輝いた。しかし「2軍では調子が悪い中で抑えたりもあったんですけど、1軍ではそれは通用しない」と壁は高かった。フォームが定まらず悩むことも多く「コロコロ意識を変えてしまっていた。もっと早くに体の機能性とか突き詰めてやれていたら少しは違ったのかなと思います」。

プロ時代は最速154キロも157キロまで向上「単純に野球がうまくなりたい」

 苦い経験も糧に、社会人で2年目を迎えた。フィジカル強化やフォーム見直しも経て、プロ時代は154キロだった最速は157キロまで向上。「単純に野球がうまくなりたいっていう気持ちでやっているので、もっと成長したいというのが表れているかなと思います」と微笑んだ。

 現在27歳。NPB復帰については「もちろんできたら一番いいと思いますけど、社会人野球で高いところを目指す中で、その先につながったらいいなという感じ。まず今は、社会人野球で高いところを目指しています」。控え目な言葉の中に、闘志がたぎる。そのためにも「正直技術的に足りない部分は多すぎる。もう一回りも二周りも、技術もフィジカルも上げていかないとなかなか難しいかなと思います」と語気を強めた。

 楽天を戦力外となり「悔しさはあったんですけど、それでも野球を続けたいというのが一番にありました」と迷うことなく現役続行を決めた。その炎は今も、消えていない。

(町田利衣 / Rie Machida)

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