DeNA戦力外→2軍球団で覚えた“焦り” 進退懸けた1年…痛感したNPBへの「大きな壁」

「一つのミスも許されない緊張感はあった」
ウエスタン・リーグのくふうハヤテに所属する田中健二朗投手が5日、静岡県のちゅ~るスタジアム清水で引退会見を行った。7月31日にNPB球団への移籍期限を迎え、オファーがなかったことで決断。目標が叶わず、「大きな壁」だったと振り返った。
2023年オフにDeNAを戦力外となると、NPB復帰を目指してウエスタン・リーグに新規参入したハヤテに入団。「とにかく僕はNPBっていうところを目指して、日々全力でやってきた」と語った。「今シーズンが始まる時、今年NPBに復帰できなければ引退しようと決めて臨みました」。野球人生をかけた2025年シーズンだったことを明かした。
今季は31試合に登板し3勝3セーブ、防御率2.08と好成績を残していたが、7月31日に日本野球機構(NPB)が定めるNPBの新規選手契約可能期間および選手契約の譲渡可能期間が終了した。声がかからなかったことで「心の整理がつきました」と晴れやかな表情をみせた。その一方で、叶わなかった目標は「大きな壁であった」と言葉に力を込めた。
「1球、1打席、1試合でミスが許されないし。失敗できない」。NPB球団から評価されるための大きなハードルを実感。「調子の波というものを、とにかく高いところでキープしなければいけない。一つのミスも許されない緊張感、プレッシャーというのはすごくありました」。DeNAで16年間もの経験がある田中でさえも、タフな環境だったという。
4日の時点でハヤテは首位のソフトバンクに32.5ゲーム差の最下位。同時期にイースタン・リーグに参入したオイシックスは首位の巨人に28ゲーム差の7位(全8球団)となっている。昨季は両球団とも優勝チームに大差をつけられての最下位だった。
「相手も1軍を目指して必死になってくるわけで、そこを乗り越えていく。強さ、精神力っていうのは本当に難しさを感じました」。昨年秋のドラフトではハヤテの早川太貴投手が阪神、オイシックスの下川隼佑投手がヤクルトにともに育成3位で指名された。今秋のドラフトも注目される。
「自分をアピールしていかなきゃいけないところなので。強い気持ちを持って来ているんでしょうけど、それだけじゃなく、日々の生活から意識してやっていく必要があるのかなという風には思います」。1球の重みを痛感し、戦い続けた35歳から若手へのメッセージとなった。
(湯浅大 / Dai Yuasa)