大谷は好調も…勝てぬド軍は「最低5点は取らないと」 “壊滅”ブルペンに専門家が鳴らす警鐘

2位パドレスとわずか1ゲーム差で今季残り18試合
【MLB】ドジャース 3ー1 ロッキーズ(日本時間9日・ロサンゼルス)
大谷翔平投手を擁するドジャースは8日(日本時間9日)、ナ・リーグ西地区最下位のロッキーズに苦戦するも3-1で辛勝。同地区単独首位をキープしたが、わずか1ゲーム差の2位にパドレスがつけている(成績は8日現在、以下同)。地区優勝の行方を左右するキーマンは──。
ドジャースにとって明るい材料は、故障で戦列を離れていた主力が相次いで戻ってくることだ。この日のロッキーズ戦では、右脇腹を痛め8月15日から負傷者リスト(IL)入りしていたマックス・マンシー内野手が戦列復帰し、いきなり「4番・三塁」でフル出場。3打数無安打1四球で快音は響かなかったものの、通算212本塁打を誇る35歳のベテランの復帰はチームにとって非常に心強い。
今月3日のパイレーツ戦で右手にファウルボールを当てて以降、欠場が続いていた強打の正捕手ウィル・スミス、右足首を痛めてILしているユーティリティプレーヤーのトミー・エドマン内野手も、間もなく復帰する見込みだ。
とにかく、ドジャース打線は救世主を渇望している。チームは9月に入ってから2勝5敗と黒星先行。オールスター前まではメジャー30球団中トップの518得点(1試合平均約5.3得点)を挙げていたが、徐々にパワーダウンし、9月に入ってからは7試合で同28位タイの22得点(1試合平均3.1得点)に落ち込んでいる。大谷は9月に入ってから打率.346(26打数9安打)、3本塁打と気を吐いているのだが、それだけでは足りないのが実情だ。
「今季のドジャースはリリーフ投手陣が不調で、打線がカバーする必要があります。最低5点は取らないと、試合展開が不安になります」。こう分析するのは、現役時代に通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏である。
「地区優勝3チームの中で勝率で2番目までに入ってほしい」
「打線が破壊力を取り戻せるかどうかは、復帰のマンシー、スミス、エドマン、それに不振に陥っているテオスカー・ヘルナンデス(外野手)あたりにかかっていると思います」と新井氏。昨季33本塁打、今季も21本塁打を量産しているテオスカー・ヘルナンデスだが、9月に入ってから6試合で打率.136(22打数3安打)、0本塁打1打点とブレーキがかかっている。この日も「5番・右翼」でスタメン出場したが、6回に同点に追いつき、なおも1死満塁の絶好機で迎えた第3打席で3球三振に倒れるなど、4打数無安打2三振だった。
ナ・リーグ西地区優勝自体もさることながら、2年連続ワールドチャンピオンを狙う上では、勝率で同東地区と中地区の優勝チームを上回り、ポストシーズンの組み合わせで優位に立つことも重要だ。現状で勝率.556(80勝64敗)のドジャースは、中地区首位のブルワーズの.614(89勝56敗)、東地区首位のフィリーズの.583(84勝60敗)に後れを取っている。
「目標はあくまで、地区優勝3チームの中で勝率で2番目までに入ることに置いてほしい」と新井氏。その成否は、大谷に続く打線の奮起にかかっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)