阪神加入も1軍2か月で退団「精神的に大変」 マートン後釜…開幕3番担った元助っ人の今

パイレーツの打撃コーチを務めるマット・ヘイグ氏【写真:上野明洸】
パイレーツの打撃コーチを務めるマット・ヘイグ氏【写真:上野明洸】

パイレーツのコーチを務めるヘイグ

 今季からパイレーツの打撃コーチを務めているのが、2016年に阪神でプレーしたマット・ヘイグ氏だ。MLBでも特筆した成績を残したわけではないが、コーチング能力が評価され、古巣にコーチとして招聘された。日本ではわずか1年の在籍に終わったが、「日本で受けた愛情と応援は本当にありがたいものだったよ」と振り返る。

 2015年にブルージェイズ3Aで打率.338、11本塁打92打点の成績を残すと、マット・マートンが退団した阪神が声をかけた。「ブルージェイズではロースターの末端にいてね。彼ら(阪神)に『ミスター・ベースボール』の映画を見せられて。お互いすごくフィットするように思えたんだ」。金本政権1年目の阪神で、「3番・三塁」で開幕スタメンに名を連ねた。

 テークバックの際に大きくヒッチする特徴的な打撃フォーム。開幕3連戦ではいずれも適時打を放つなど活躍したが、6月に抹消されて以降は2軍暮らしに。9月に右肩の治療のために帰国すると、そのまま退団となった。帰国後はマイナーでプレーし、2020年には古巣ブルージェイズ傘下のコーチに就任。2024年にはMLBのコーチも務めた。

 日本と米国の野球の違いについては「日本では誰もが非常に技術的に洗練されています。MLBではよりフィジカルでパワーのある選手が多いですが、日本では技術面が際立っています。そして投手は『欺くこと』の達人です。『シュートボール』には最後まで慣れなかったね」と苦笑いで振り返った。

 現在の指導には、日本での経験も生きている。「日本の練習は非常にハードですが、大きな成果を引き出します。その経験から、日本が常に国際舞台で成功している理由が理解できた。選手たちが技術的にも運動能力的にも高度であることを強く感じたよ」。

 日本では、野球と国の“美しさ”が印象に残っているという。「風景の美しさ、清潔さ、人々、食べ物、そして甲子園での野球体験は本当に楽しかった。ファンはとても熱狂的だった。1人の米国人として異国に行くということは精神的に大変なこともあるわけだし、受けたサポートと愛に感謝しているよ」。好きな日本食は焼き鳥。「焼き鳥を扇ぎながら焼いてくれるのが好きだった。あとは畳に座って食べるのもお気に入りだったね」。わずか1年の経験だったが、深く心に刻まれている。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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