アクシデントの曽谷龍平が“向かった先” 折れたバット直撃で緊急搬送も…「誤解を解きたい」

オリックス・曽谷龍平、折れたバット直撃も「海野さんは悪くないですから」
■ソフトバンク 5ー0 オリックス(15日・京セラドーム)
自ら進んで“グータッチ”に向かった。オリックスの曽谷龍平投手は15日、本拠地で行われたソフトバンク戦の前に、三塁側ベンチへ駆けつけた。海野隆司捕手を見つけると笑顔でお辞儀。少しの時間、会話をすると、最後は胸にコツンと拳を当てた。「僕の体は大丈夫ですし、今日も気持ちよくプレーしてください」。スポーツマンシップの溢れる言葉だった。
曽谷は14日の同戦に先発登板。2回2死一、二塁の場面で海野を内野ゴロに打ち取ったかと思われたが、折れたバットが胸部に直撃した。「ボールを追いかけていたので、踏み出して(ゴロを)捕ろうと思ったらバットが目の前にあって、避けられなくてバーンっという感じでした」。その場でうずくまり、立ち上がることができなかった。「息がしづらくて、最初は焦ってました」。
担架で運ばれると、そのまま大阪市内の病院へ緊急検査に向かった。結果は幸いにも「胸部の打撲」。思わぬアクシデントだったが「冷静に振り返って、もっと周りが見えたんじゃないかなと思っています」と気を引き締めた。
マウンド付近でうずくまった際の記憶はほとんどなく「あんまり覚えていないんですけど、後から聞いたら『打球どうなったんですか? って何回も聞いてたで』と言われました」と笑顔で振り返る。幸運にもバットが折れた側が当たったわけではなかった。「2分の1でしたね。(胸に)刺さらなくてよかった……」。ゴクリと息を飲んだ。
検査が終わり、自宅に帰るとインターネットのニュースを見た。「海野さんが『申し訳ない』って言ってくれている記事を見たんです。それに対するコメントで海野さんが指摘されているものもあったので……。それは違うなと。海野さんは悪くないですから。その誤解を解きたくて……じゃないですけど。そんな感じで(本人と直接)話をしたくて(自分から)行きました。心配をおかけしてすみません、って」。真剣勝負の中でも相手を思いやる。胸に残った痛みは、曽谷をまた強くする。
(真柴健 / Ken Mashiba)