気になった奥川恭伸の“異変” 専門家が懸念した変化…岡本への危険球も「影響あった」

ヤクルト・奥川恭伸【写真:小池義弘】
ヤクルト・奥川恭伸【写真:小池義弘】

奥川は岡本へ危険球を与え5回途中で降板

■巨人 4ー2 ヤクルト(17日・神宮)

 ヤクルトの奥川恭伸投手は17日、神宮球場での巨人戦に先発したが、岡本和真内野手へ頭部死球を与え、5回途中で危険球退場処分となった。制球が定まらず4四死球4失点で8敗目。球団OBで野球評論家の野口寿浩氏が気になったのは走者を背負った際の投球だった。

 この日、初回に2点のリードをもらったが、直後に2回に1死から中山に四球を与え、リチャードに同点2ランを献上。3回1死一、三塁で泉口の犠飛で勝ち越しを許した。

「クイックで投げた時に球速が2~3キロ落ちていたんですよね。上手くフォームのタイミングが合わず、打たれたくはないので、厳しいコースを狙って、よりボールが先行していました」

 5回には先頭の丸に投手強襲の安打を許すと、1死から泉口に中前打を献上。一、二塁で岡本を迎えたが、その初球が抜け、ヘルメットのツバを直撃した。これもクイックモーションでの球速の低下が影響した可能性があると指摘する。

「タイミングのずれというようなものに見えました。インコースを狙っていたというのもありますが、それが思ったようにいかないであそこに行ってしまったというのは相当タイミングが狂っていたんだと思います」

勝てる投手の“共通点”「奥川投手は逆になっていた」

 先発投手は勝ち投手の権利を得るまでに最低5回を投げなければならず、長いイニングを投げることが求められる。そのため、“勝てる投手”になるにはギアの調整ができることが条件としてあげられる。

「24勝した時のマー君(田中将大)や今の伊藤大海投手などはランナーがいた時に1段ギアを上げますよね。メジャーで言えば、全盛期の(ジャスティン・)バーランダー、(マックス・)シャーザーとか。走者がいない時は93~94マイルで投げて、スコアリングポジションで球速を上げます。奥川投手は今日に限ってはその逆バージョンになってしまっていました」

 2021年に18登板で9勝4敗、防御率3.26をマーク。ブレークしたが以降は怪我に苦しみ、昨季までの3年間でわずか3勝に終わった。「当時はクイックでも同じように投げれていたようにも思えました。調整の過程を見ていないのではっきりとは言えませんが、リハビリなどの過程でフォームにずれが生じたのかもしれません」。

 星稜高時代は夏の甲子園で準優勝に輝き、3球団競合でヤクルトに入団した24歳。「そこをしっかり克服することで結果はついてくると思います」。秘めるポテンシャルは皆が知るもの。だからこそ、野口氏ももどかしさを感じていた。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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