朗希に匹敵する右腕は「メジャーに行ける」 怒涛の9連続QS、衝撃の奪三振率に太鼓判

ロッテ・種市、7回無失点で8勝目…自身5連勝
■ロッテ 7ー0 楽天(18日・ZOZOマリン)
メジャー級の投球が戻ってきた。ロッテ・種市篤暉投手が18日、ZOZOマリンスタジアムで行われた楽天戦に今季22試合目の先発登板。7回4安打無失点の快投で自身5連勝を飾り、8勝目を挙げた。前半戦は右肘の張りによる離脱もあり5連敗を喫するなど不本意な成績。しかし、最近は9試合連続でクオリティスタート(QS=6回以上を投げ自責点3以下)を記録するなどシーズン終盤に来て本来の投球を見せている。
「変化球が納得いかない。序盤は追い込んでからのフォークがイメージしていた落ち方と違っていたし、スライダーも良くなかった」。150キロを超える直球で押し込み、フォークやスライダーなどを交えて危なげない内容。それでも不満を漏らすのは、それだけ高い理想を掲げているからである。最近は直球でファウルを打たせて追い込むシーンが増えており「それが一番」と復調への手応えを感じている。
吉井理人監督も「立ち上がりから良かった」と称賛。シーズンの規定投球回に達したことにも「もっともっと投げられる投手」と当然とばかりに期待を口にする。最近の復調ぶりについて、この日は「本人の感覚なので、どこがどう良くなったかは分からない」と言葉を濁したが、ここにきての充実ぶりに「投球フォームがすごく安定して制球も良くなって元の種市になった。まだまだこんなもんじゃない。もっともっと上があると思っている。彼もメジャーに行けるぐらいの選手」とコメントしたこともあった。
現役時代にメッツなどMLBでも5年間プレーし米通算162試合に投げて32勝を挙げた吉井監督も認める才能。昨オフは佐々木朗希投手(ドジャース)をMLBに送り出した指揮官が、最速165キロを誇る佐々木にも負けない素材と評価する片りんはこれまでも披露してきた。
最近7試合の奪三振率11.31、2年ぶり2桁勝利見えた
2016年ドラフト6位でロッテに入団した27歳。3年目の2019年に8勝を挙げて頭角を現した。右肘手術などを経て本格的に1軍復帰した2023年に初の2桁10勝をマーク。2024年は初めて規定投球回にも達し、同年と今年の開幕前には侍ジャパンのメンバーにも選出された。今年3月のオランダとの強化試合では155キロの直球を連発。SNS上でファンが「メジャーに見つかってしまう」と騒然とする快投を披露して球界を代表する右腕に成長したことを示していた。
シーズン序盤は少なかった奪三振も急増。最近7試合は53回1/3を投げ67奪三振で、奪三振率11.31と衝撃の数字を叩き出している。一時4点台中盤だった防御率も2.76まで良化した。150キロ台中盤の直球と切れ味鋭いフォークが最大の武器。吉井監督は前回登板の11日ソフトバンク戦後には「スライダーも球速に変化をつけているから打者が絞りづらい。ストライクの取り方も工夫してうまくなっている」と進化を口にしていた。
種市自身も「去年までは味方が点を取ってくれた後に失点することが多かった。今は味方の得点を気にせず、集中力を切らさずに投げられている」と自賛。この日の試合前に引退会見を行った美馬学投手については「(美馬がMVPを獲得した)2013年の日本シリーズは見ていました。悲しいですね」としつつ「フォークを教えてもらったのは大きいです」と感謝の言葉を述べた。
驚異的な“V字回復”ぶりを示し、2桁勝利の可能性も十分にある。お立ち台では「あと2試合投げると思います。あと2つ勝って2桁に乗せたい」とファンに宣言した。2年ぶりの10勝へ。今の種市には問題なくクリアできそうな雰囲気が漂っている。
(尾辻剛 / Go Otsuji)