PS進出のド軍が抱える“弱点”「はるかに落ちている」 専門家が指摘した昨年との違い

新井宏昌氏が解説「先発投手陣は対等に戦える」
【MLB】ドジャース 6ー3 ジャイアンツ(日本時間20日・ロサンゼルス)
2年連続世界一は険しい道のりとなりそうだ。ドジャースは19日(日本時間20日)、本拠地で行われたジャイアンツ戦で大谷翔平投手の52号3ランなどで6-3で逆転勝利。2013年から13年連続でポストシーズン進出を決め、地区優勝へのマジックナンバーを「4」とした。ラストスパートに入る中、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は「ポストシーズンは厳しい戦いになると思います」と見解を示した。
2位パドレスとのゲーム差を4に広げ、4年連続となる地区優勝が見えてきたドジャース。投手復帰した大谷が二刀流でけん引するなど、2年連続での世界一に期待が高まるが、新井氏は「大谷や山本由伸がいる先発投手陣は計算できて対等に戦えると思います。ただ、野手陣は分かりません」と攻撃陣への不安を口にした。
ジャイアンツ戦では2回にロハスが同点弾。1点を追う5回には大谷が逆転3ランを放ち、ベッツも20号ソロで続いた。効果的な3発に「いい場面でホームランが出ました。今年はホームランは多いので、走者がたまったところなど、いいところで出ればポストシーズンも分かりません」と称えた一方で「ただ、去年のように、打ちだしたら止まらないという感じはありません。今年は打線のつながりという点では、去年よりはるかに落ちています」と指摘した。
大谷を含めたMVPトリオも昨年ほどの信頼が置けないと語る。「ベッツは怪我でいない時期がありましたし、調子がいまひとつ。フリーマンも波が多い」。それ以外の主力についても「(テオスカー)ヘルナンデスも今年は良くない。マンシーは故障が多いし、打つ時は凄く打つけど調子が良くないと三振ばかりでいい時との差が激しい。なかなか計算が立ちにくい」と現状を解説した。
「大谷がマークされると短期決戦では厳しくなる」
打率.296の正捕手スミスも負傷者リスト(IL)入りしており、野手陣に不安材料が並ぶ。「今年は中心選手に波があります。その波が落ち込んだ時、大谷がマークされてしまうと、短期決戦ではどうしても厳しくなってしまいます。どういう面が出てくるのか、不安を感じます」。昨年の覇者として盤石とは言い切れないようだ。
仮にこのまま地区優勝を決めても、最初のワイルドカードシリーズを勝ち抜くのは容易ではない。2勝すれば勝ち抜けの最大3試合制で「先発投手次第ですけど、2試合であっという間に終わる可能性もあるし、超短期決戦はなかなか難しい」と新井氏は話す。
「勝ち上がってもフィリーズやブルワーズと戦う可能性が高い。この両チームは年間を通して打線が好調でよくつながっています。厳しい試合になるでしょう」。フィリーズはメジャー1番乗りで地区優勝を決め、ブルワーズもリーグ最高勝率を誇るなど、高い壁がそびえ立つ。
二刀流の大谷頼みでは簡単には勝ち上がれない。再びワールドチャンピオンに輝くためには、野手陣の奮起が鍵を握りそうだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)