ドラフト注目株、151キロ左腕に見た成長 スカウトが評価した“技術”「120%腕を振って投げる」

東大戦に先発した明大・毛利海大【写真:加治屋友輝】
東大戦に先発した明大・毛利海大【写真:加治屋友輝】

秋季リーグ開幕戦で151キロ左腕・毛利と4番で捕手の小島が活躍

 10月23日に行われる今年のプロ野球ドラフト会議。明大の選手が16年連続で指名され、最長記録を更新するのは確実な情勢だ。その明大は9月20日、東京六大学秋季リーグの東大1回戦に6-0で快勝。プロのスカウトたちが見守る前で、最速151キロ左腕・毛利海大投手と強打の小島大河捕手(ともに4年)がそろって活躍した。

 明大の今季開幕戦とあって、ネット裏席は賑やかだった。担当スカウトの他に、西武・広池浩司球団本部長、同・秋元宏作球団副本部長ら、各球団幹部の姿も見られた。

 そんな中、開幕投手を務めた毛利は東大打線を全く寄せ付けない。失点どころか、7回までに許した走者は2回2死から左前打された1人のみ。4-0とリードして迎えた8回には、2死から味方のエラー、死球、四球で満塁のピンチを招いたが、ここぞとばかりにギアを上げ、左の強打者・中山太陽外野手(4年)をカウント0-2と追い込んだ後、得意のチェンジを振らせて3球三振に斬って取った。結局8回110球、1安打無失点の快投で今季初登板を終えた。

 明大は昨秋と今春、2季連続して早大と同率首位で全日程を終え、いずれも優勝決定戦で涙を飲んだ。どちらも先発して敗戦投手となったのは毛利だった。「あんな思いはもうしたくないという気持ちで、夏からやってきました。全勝する勢いでやっていきたいです」と大学最後のシーズンに懸ける思いは格別だ。

 一方、7月の日米大学野球選手権大会では第1、第2戦にリリーフで連投。第3戦には先発して5回無失点に抑える大車輪の活躍で、大会最優秀投手に選出された。夏の間に自己最速を1キロ更新し、151キロになったそうで、他にチェンジアップ、スライダー、カーブを操る。

 巨人の榑松伸介スカウト部次長は「全ての球種を120%腕を振って投げられるところが、毛利くんの一番の魅力だと思います。特にチェンジアップの精度は高いです」と評し、「具体的な順位については言えませんが、上位でしょう」と語った。ストレートと同じ腕の振りで複数の変化球を投げ分けられることは、プロで活躍する上で大事な技術だ。

東大戦に出場した明大・小島大河【写真:加治屋友輝】
東大戦に出場した明大・小島大河【写真:加治屋友輝】

2010年以降15年連続輩出、昨年は楽天宗山と日本ハム浅利

「4番・捕手」で出場した小島は、初回2死一塁で、プロ志望届を提出済みの東大・渡辺向輝投手(4年)から“逆方向”の左線へ先制適時二塁打。3回1死一、三塁では右犠飛を打ち上げ、着実に役割を果たした。6回には中前打、7回にも左前打を放ち、3打数3安打2打点1犠飛の好発進となった。

 守備の要であると同時に、左打ちの勝負強いバッティングも持ち味。侍ジャパン大学代表の4番を務めたこともある実力者だ。前出の巨人・榑松次長は「彼の打撃は、不調の時が見つからない。1試合全くダメなまま終わったケースを見た覚えがないほど、コンスタントに打っています。コンタクト能力が高いです」と絶賛。捕手としても「スローイングは安定していますし、捕ってから投げるまでが速いです」と評価している。守り優先のポジションだが、“強打の捕手”となると、プロでも希少価値が高い。

 明大では昨年のドラフトで、宗山塁内野手(楽天1位)と浅利太門投手(日本ハム3位)が指名され、2010年以降15年連続で指名選手を輩出している。今年も毛利、小島の他、最速153キロ右腕・高須大雅投手(4年)、152キロ左腕・久野悠斗投手(4年)らへの指名が有力視される。

 ただ、試合後には小島が「自分の持ち味は打撃なので、そこは生かしていきたいですが、チームの勝利が一番で、ドラフトよりも目の前のことを一生懸命やっていきたいと思います」、毛利も「小島の言う通り、チームが優勝することが一番なので、そこだけを意識してやっていきたいです」と口をそろえた。4連覇の偉業が懸かる早大との優勝争いを含め、明大の選手たちから目を離せない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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