打撃練習で悟った“限界”「情けない、恥ずかしい」 川端慎吾が引退を決断した背景

ヤクルト一筋20年…涙の会見「本当にいろいろあったな」
ヤクルトの川端慎吾内野手が27日、都内で会見を開き、今季限りで現役を引退することを発表した。「9月10日くらいに球団の方からそういう話があって、悩んで悩んで、なかなか決断することができなかった」と明かしたが、20年間の現役生活にピリオドを打つことを決めた。
溢れる涙を抑えきれなかった。「本当にいろいろあったなという感じですね。山あり谷ありというか。優勝もさせてもらったしタイトルを獲ることもできましたし、日本一を決めることもできました。その中でたくさん怪我をしたし、腰の手術も2度して、いろいろなことがありましたけど全て自分の財産になっていると思います」と感慨深げにヤクルト一筋のプロ生活を振り返った。
当初は「決断することができなかった」という37歳だが、「時間が経つにつれて少しずつ落ち着いて冷静に考えられるようになって、この辺で身を引くのがベストなんじゃないかと思えるようになってきたので、つい最近なんですけど決断しました」と語る。その気持ちの変化について、率直な胸の内を明かした。
「打撃練習でも明らかに飛距離も飛ばなくなってきて、衰えも自分では隠しきれないくらい感じてはいたので。本当に情けないな、恥ずかしいなと思いながら打撃練習をしていたのでそれもありますね」
“天才”と称されたバットコントロールで、通算1326試合で1099本を積み上げてきた。数々の怪我を乗り越えてきた男も、今季は1軍出場なし。押し寄せる世代交代の波と自らの打撃の感覚に、引き際を悟った。当初は球団側が引退試合を用意する予定だったが、川端が「あまりにも僕がこの(引退の)決断が遅くなってしまって時間が間に合わないということで……」と話すように、今季中に行うことができず、来年3月のオープン戦時に行う方向で進められている。
本拠地最後の2連戦となる27日広島戦、28日ヤクルト戦は1軍で打席に立つ見込み。喜びも苦しみも味わった神宮で、稀代のバットマンが最後の勇姿を見せる。
(町田利衣 / Rie Machida)