「台湾の大阪桐蔭」で元オリ左腕が野球教室 始球式では“世界一美しい”フォームを披露

富邦ガーディアンズと共同企画イベント
パシフィックリーグマーケティング(以下、PLM)は、9月5日から7日までの3日間にわたり、台湾でパ・リーグ6球団のプロモーション活動を展開した。「プロ野球の新しいファンを増やす」というミッションを掲げ、ファン市場の拡大を目指しているPLM。2025年のパ・リーグ主催試合は北米、台湾、韓国、中南米で放映・配信されているが、特に結びつきの強いのが台湾だ。
台湾での放送・配信が12年目を迎えた今シーズンは、DAZN台湾がパ・リーグ6球団の主催試合を連日放送・配信している。2017年、孫易磊投手(現・日本ハム)が「WBSC U-12ワールドカップ」の代表選手アンケートで、憧れの選手として、当時日本ハムに所属していた大谷翔平投手の名前を挙げていたが、孫も中継を見ながら、夢を膨らませていたのだろう。
PLMは一昨年、台湾プロ野球チーム・楽天モンキーズ主催の日本イベント「YOKOSO桃猿」において、パ・リーグ6球団のブースを出展して以来、台湾でのプロモーションに力を入れており、昨年は台湾プロ野球チーム・富邦ガーディアンズとの共同企画イベント「わくわく日本祭」を実施。杉谷拳士氏による現地の子どもたち向けの野球教室は好評を博した。
そして今年は、オリックスOB・能見篤史氏を特別ゲストに迎え、台湾高校野球強豪チーム向けの野球教室や2年連続となる富邦との共同企画イベントに加え、ファンミーティングを開催した。

能見篤史が「台湾の大阪桐蔭」と呼ばれる強豪校を指導
能見氏は9月6日、台湾北部の新北市にある富邦ガーディアンズの本拠地に赴き、同市の強豪高校・穀保家商の選手たちに向けて野球教室を行った。
かつてパ・リーグでプレーした楽天モンキーズ・陳冠宇投手や台鋼ホークス・王柏融選手らの母校でもある穀保家商。日本ハムの孫易磊投手やソフトバンクのチャン・ジュンウェイ投手なども輩出し、台湾プロ野球にOBが46人在籍する強豪校。陳冠宇は穀保家商を「台湾の大阪桐蔭」と表現するほどだ。この日は主に1、2年生の投手が参加し、中には元U-15代表やU-18の代表候補の選手も複数いた。
アップ、キャッチボールの後、早速ブルペンで指導が行われた。能見氏は各選手のフォームをチェックすると「自分が投げやすい歩幅をしっかり確認してください」、「高校時代はまず、フォーシームできれいな回転のボールを投げることを意識してください」などとアドバイスし、基本の大切さを伝えた。
その後、能見氏は、決め球のフォークをはじめとした各球種を実際に披露。現役時代さながらの美しいフォームで投球し、“フォームの再現性”を重視する能見流のコツを伝授した。また、野球教室の最後には「皆さん、めちゃめちゃ能力が高いです。でも、その能力を生かすか殺すかは自分次第。野球はうまくいかない事の方が多いです。そこに対し、向き合って克服できるのか、それとも逃げるのか。乗り越えないと違う景色は見えてこないと思います。ここから何人かはプロになると思うので、非常に楽しみです」と激励のメッセージを選手に送った。

台湾のファンを前に「世界一美しい」ワインドアップを披露
富邦との共同企画イベントでは、球場開門後、屋外ステージでクイズ大会とサイン会が行われた。クイズ大会では、パ・リーグおよび能見氏に関する問題が出題され、能見氏が直接回答者を指名。正解者にはパ・リーグで活躍する台湾選手のグッズが手渡されることもあって盛り上がりを見せた。また、サイン会では、現役時代の能見氏のグッズを手に、日本語でメッセージを伝える熱烈ファンもいた。
その後、オリックス時代の教え子である張奕投手や西武でプレーした廖任磊投手、今季途中から富邦に入団した元BCリーグの鈴木駿輔投手を交え、談話の機会が設けられた。質問攻めの後輩たちに能見氏は惜しみなく自身の経験をシェア。「以前おっしゃっていた事が、最近ようやくわかった気がします」と語る張奕に「遅いよ」と笑顔で突っ込む場面もあった。
能見氏はこの日の始球式に登板。富邦が準備したネーム入り特製ユニホームに袖を通し、「世界一美しい」といわれるワインドアップを台湾のファンの前で披露すると、スタンドからは大きな歓声がおこった。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)