鷹の黄金期を支えた森唯斗の活躍を振り返る 127セーブ&106ホールド…惜しまれつつ引退

ソフトバンク黄金期を支えた100ホールド&100セーブ
9月30日、横浜スタジアムでDeNA・森唯斗投手の引退セレモニーが行われた。
森は2013年ドラフト2位で三菱自動車倉敷オーシャンズからソフトバンクに入団。プロ初登板は2014年5月11日の西武戦。6点リードの9回、2死二塁の場面で登板し、秋山翔吾外野手を2球で内野ゴロに打ち取った。初登板から5日後の16日、オリックス戦で伊藤光捕手から初奪三振を記録すると、同月26日の中日戦で初ホールドを挙げた。
プロ1年目からチーム3位タイの58試合に登板すると、その後も結果を残し続け、入団から7年連続50試合以上に登板した。特にクローザーに抜てきされた2018年は、キャリアハイの66試合に登板。37セーブを挙げ、自身初タイトルとなる最多セーブ賞を獲得している。
プロ2年目、2015年6月10日の阪神戦、6回1死1一、三塁の場面で登板し、2者連続空振り三振で切り抜けた。続く7回、鳥谷敬内野手から始まる上位打線を3者連続三振に仕留めると、8回も先頭打者から2者連続で空振り三振。イニングをまたいで7者連続三振を奪い、ビハインドの展開で意地を見せた。
2018年、3年連続でセーブ王を獲得していたデニス・サファテ投手が開幕後に負傷し戦線を離脱。ここでクローザーに抜てきされたのが森だった。シーズン前半は複数失点する日もあったが、9月に入ると11試合で10セーブ、月間防御率0.87の好成績をたたき出す。
圧巻だったのは9月18日からチームが7連勝した間、森も7試合連続でセーブを記録。また、9月6日から10月5日にかけて、12試合連続でセーブを挙げている。
2018年のソフトバンクはリーグ優勝を逃したものの、2位からクライマックスシリーズを勝ち上がり日本シリーズに出場。森もシリーズ5試合で3セーブを記録し、優秀選手賞に選ばれた。
2020年には100ホールドと100セーブを達成。ソフトバンクのブルペンを支え続けた勲章だ。
先発に転向、新天地のDeNAへ
ここまでリリーバーとして腕を振ってきたが、2023年に先発へ転向。4月27日の楽天戦では6回無失点と好投し、自身初めて先発での白星をつかんだ。
2024年からDeNAに移籍。中継ぎで登板した4月26日の巨人戦で移籍後初白星を挙げるなど、初年度は14試合で1勝3敗、1ホールドだった。今季はファームで登板を続ける中、8月28日に1軍戦初先発。立ち上がりこそ阪神の佐藤輝明選手に先制2ランを許してしまったが、3回以降は完ぺきに抑え、セ・リーグ首位を相手に5回4安打2失点の好投。見事に今季初白星を挙げたが、9月に今季限りでの現役引退が発表された。
あらためて振り返ると、森投手が50試合以上の登板を果たした2014年から2020年にかけて、ソフトバンクは4度のリーグ優勝と6度の日本一に輝いている。「キング・オブ・クローザー」と呼ばれたサファテ投手の後を受け、「クイーン・オブ・クローザー」として存在を確立した。
現役最後の登板となった9月30日、横浜スタジアムでの一戦。慣れ親しんだ9回のマウンドに上がると、先頭打者の出塁は許したが、長岡秀樹内野手を三振に仕留め、通算500奪三振を達成。そして続く打者を併殺に打ち取ってみせた。
最後の最後まで披露した渾身の投球。多くの野球ファンの心に刻まれたはずだ。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)