60HRローリーの揺るがぬ信条「自分で決めようとは」 延長惜敗…CY賞左腕と対戦も気負わず

タイガース戦に出場したマリナーズのカル・ローリー【写真:ロイター】
タイガース戦に出場したマリナーズのカル・ローリー【写真:ロイター】

チーム初のワールドシリーズ進出を目指す

【MLB】タイガース 3ー2 マリナーズ(日本時間5日・シアトル)

 24年ぶりに地区優勝を果たしたマリナーズが4日(日本時間5日)、本拠地でタイガースとの地区シリーズ第1戦を戦い、延長11回の末に2-3で敗れた。5戦3勝先取の同シリーズで好発進はできなかった。

 ブルージェイズに次ぐリーグ2位の本拠地51勝30敗(勝率.630)を挙げたマリナーズ。ワイルドカード・シリーズでア・リーグ中地区を制したガーディアンズを倒して勝ち上がったタイガースとは、レギュラーシーズンで2カードを交え4勝2敗の成績。地の利と対戦成績で分があったが、試合は拮抗した展開となり、最後に力尽きた。

 4万7290人の大観衆で埋まった本拠地で、マリナーズを攻守で盛り立てたのはチームリーダーのカル・ローリー捕手だった。今季、捕手でありながら両打ちで60本塁打、125打点の2冠を達成したローリーは、前日の会見で「雰囲気に飲まれないよう大きく深呼吸をして、これまでとおりに各人が役割を果たし、そして試合を楽しむこと」と、“心構え”を短期決戦のポイントに挙げ、レギュラーシーズン同様に強気なリードで引っ張った。

 先発のジョージ・カービー投手は初回、打者4人に対し16球中11球を最速100マイル(約160.9キロ)の速球で押し、1安打を許しながらも3奪三振。得点圏に走者を置いた2回も無失点で乗り越え、リズムを作った。

 一方、打線はプレーオフ初先発のマウンドに上がったタイガース先発の24歳右腕トロイ・メルトン投手に初回、2番ローリーが中前打で出塁したが後続に快音が出ず先制を逃すと、その後も緩急を駆使した投球に苦しめられた。だが4回、先頭の3番フリオ・ロドリゲス外野手が中堅スタンドへ豪快な1発を見舞い均衡を破った。

ローリー、ロドリゲス以外は沈黙

 しかし、タイガースはすぐさま反撃に転じた。5回2死二塁の場面で2番ケリー・カーペンター外野手が右中間へ逆転の2ラン。マリナーズは6回、無死一塁からローリーが中前に弾き返して好機を広げ、3番ロドリゲスの適時右前打で2-2の同点に追い付いた。その後、両軍とも得点が入らず、延長11回に勝ち越しの1点を奪われたマリナーズはその裏無得点で初陣を飾れなかった。

 タイガースがつぎ込んだ8投手にマリナーズ打線は、ローリーとロドリゲスの2人が奮闘する形となった。今季記録的な60本塁打を放ったローリーだが、信条の「僕の後ろにはいいバッターが続く。自分で決めようなんて考えていない」をプレーオフ初戦の3本の安打に映した。

 明日5日(同6日)は、昨季のサイ・ヤング賞に輝いた剛球左腕タリック・スクーバル投手が立ちはだかる。ローリーは落ち着いた声で言った。

「好投手なのは分かっていること。僕たちはしっかりとしたゲームプランでチャレンジする。でもあまり自分に圧をかけてはいけない。リラックスしてフィールドに立つんだ。みんなそれができるはず」

 短期決戦の舞台でもローリーの気持ちは、開幕から変わることはない。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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