日本S先勝→4連敗で明白となった虎の課題 リーグ最速Vも…陥った“落とし穴”

甲子園でソフトバンクの胴上げを見届けた藤川監督「悔しさはない、それだけ相手が強かった」
■ソフトバンク 3ー2 阪神(30日・甲子園)
阪神は30日に甲子園で行われたソフトバンクとのSMBC日本シリーズ2025第5戦に2-3で敗れた。初戦白星からの4連敗で2023年以来の日本一はならなかった。力の差を見せつけられた藤川球児監督は「やっぱり底力がありましたね。非常に強かったです。悔しさはない、それだけ相手が強かった」と、完敗を認めた。
ソフトバンクとの自力の差を見せつけられたシリーズだった。この日は2点リードする展開も、8回に登板した石井が柳田に痛恨の同点2ランを浴びると、延長11回は第1戦で先発した村上が野村に勝ち越しソロを献上。本拠地・甲子園で1勝も挙げることができず、胴上げを許した。
就任1年目でリーグ最速の優勝を決めるも、日本シリーズの大舞台で課題は明確となった。阪神の強味はなんといっても強力な投手陣と、野手は主力のスタメンが固定されていることだった。近本、中野、森下、佐藤輝、大山ら2023年の日本一からメンバーはほぼ変わらない。シーズンで大きなケガもなく、安定した試合運びを続けることで最速Vに繋がったといえる。
だが、日本シリーズでは不振選手の代役が見当たらず下位打線は低迷した。佐藤輝の5試合連続タイムリーは見事だったが、チーム全体で本塁打はゼロ。チームの空気を変える代打陣も見当たらず、選手層の薄さを露呈したシリーズとも言えるだろう。
ソフトバンクには一振りで試合の流れを変えられる選手が多く、今回も山川、柳町、柳田、野村勇、近藤らが勝負所で仕事を果たした。甲子園での3試合は全て1点差の接戦だったが、藤川監督は点差以上に力の差を感じていた。
「1点差というのは、時の運のように見えてそうではないですから。それをセ・リーグで制してきて、勝ち上がってきたわけですけど。交流戦含めて、この1点差というのは少しではない、小さな積み重ねの1つだったり、DHもありますから。非常に強力な打線を備えてたという印象です」
来季に向け課題は明確。試合に敗れた直後から、指揮官の目は来シーズンを見据えていた。「やるべきことが見つかったと。それはチームにとって非常にありがたいことだし。またチームとして、力を上げて引き上げていかなきゃいけないのは私の仕事なんで。取り掛かることがあって、立ち向かうところがまたあっていいなと思いますね。ありがたいことです」。悔しさを糧に、来季はチーム初のリーグ連覇、日本一奪還を実現させる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)