カウント「3-0」…100%バッテリー不利をどう覆す? 相手ベンチを惑わせる“仕草”

3ボールで捕手がすべき“仕草”とは(写真はイメージ)
3ボールで捕手がすべき“仕草”とは(写真はイメージ)

野村ID野球の薫陶を受けた野口寿浩氏が解説する捕手の“上級観察術”

 カウント「3ボール・ノーストライク」。バッテリーが追い詰められたピンチの場面で、捕手はどのようなことを考えるべきだろうか。現役時代はヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)と4球団で扇の要を務めた野口寿浩氏は、「バッターが打つか、打たないかの判断が一番。見破れなくても、雰囲気で察知するのが仕事になる」と強調する。ヤクルト在籍時に野村克也氏にID野球を叩き込まれ、磨いた捕手のリードの考え方を披露してくれた。

 この100パーセント打者有利、バッテリー不利のカウントをリードする際、重要なのは相手の意図を読み取る観察力。「打者は3ボールになったら必ず、ベンチやコーチャーのサインを見ますよね」と野口氏。このカウントで判断するのは基本的に「打つか、打たないか」。相手打者の表情や仕草から、「打ってこない」と判断したら「ど真ん中真っすぐで1ストライクを取れる」。逆に「打ってくる」なら「大抵は真っすぐでコースを絞ってくるから、それを避ければいい」。見破れなくても“雰囲気で察知する”のがキャッチャーの仕事になると力説する。

 察知する方法の1つとして野口氏が挙げるのが、「投手に返球するタイミングで、相手ベンチをパッと見る」ことだと明かす。

「そのタイミングで相手ベンチからランナーコーチにサインが送られる。ランナーコーチから打者に送られるサインよりも、ベンチからコーチに送られるサインの方が簡単で見破りやすいんです」。相手ベンチとしては、そうして捕手に見られるだけでも嫌な気持ちになるという。ちょっとした行動でも揺さぶりをかけることができるのだ。

 大事なのは、普段の生活や練習から観察力を磨く“トレーニング”をしておくこと。野口氏が「察知する、洞察力を磨いて実践しなければいけないのが、キャッチャーの仕事」と語るように、日常生活でも人の表情や動きの変化に注意を向ける習慣をつけるのがいい。こうした地道な取り組みが、不利な状況を覆す勝負強い捕手への第一歩となる。

(First-Pitch編集部)

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