最強打者トラウトは「消えてしまった」 相次ぐ故障、遠のく栄光…289億円も足かせに

度重なる負傷で守備離脱、遠いポストシーズン
2010年代で最強打者だったエンゼルスのマイク・トラウト外野手が、かつての輝きを失いつつある。度重なる負傷に苦しみ、成績不振が続く34歳に「その時が来ている」と、DHに専念させるべきだとする意見も出ている。かつてエンゼルスで同僚としてプレーした大谷翔平投手は、ドジャースに移ってワールドシリーズ連覇を経験。岐路に立つかつてのスーパースターの現在地を、米メディアが報じている。
シーズンMVPが3度、シルバースラッガー賞は9度と、2010年代を代表する打者だったトラウト。1950~1960年代に時代を築いたヤンキースのミッキー・マントルとも比較されるほどの大打者だった。2023年のWBC決勝では、当時同僚だった大谷とともに日米それぞれの旗手として入場し、最終回の大谷との対決は名場面として語り草となっている。
だが、ここ数年は怪我で出場機会を減らしており、大谷がチームを去った2024年はわずか29試合の出場に終わった。今季は守備の負担軽減のため右翼手やDHとして130試合に出場したが、打率.232、26本塁打64打点という平凡な数字に終わった。
米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は5日(日本時間6日)に「世代最強の選手、マイク・トラウトはなぜ光を失ったのか」と題した記事を公開。今季に不振で「彼の存在は野球界から薄れていった」と評した。元エンゼルスの三塁コーチで、現在はドジャースで指導するディノ・イーベル氏は「彼は“マイク・トラウト”という存在そのものだったが、それが消えてしまったのは悲しいことだ」と語ってた。
エンゼルスは2014年を最後にポストシーズンから遠ざかっている。トラウトは勝てないチームでプレーを続けてきた。だが、年齢や度重なる故障によるパフォーマンスの低下、そして約1億9000万ドル(約289億円)の契約が残っていることから、もはやトレードは現実的でないと同記事は指摘する。
2018年に加入した大谷との6年間では、両者が同時に先発に名を連ねたのは全体の46.6%にとどまり、チームの成績は194勝211敗(勝率.480)に終わった。大谷がドジャースに移籍した後、トラウトはふくらはぎ、腰、左手首、左膝など故障が相次ぎ、今後は「既にその時が来ている」と指名打者としての起用が中心になる可能性も出ている。
身体の限界説が囁かれる中、かつてのチーム一筋のスターがもう一花咲かせることを願う声は根強い。トラウトは「契約はあと5年残っている。それが私の原動力だ」と強調。「調子が良ければ、最高の選手になれる」と語ったという。元エンゼルスの実況アナウンサー、ビクター・ロハス氏は「難しいことだとは分かっているが」とした上で「もし彼が持ちこたえて、エンゼルスがプレーオフ出場を成し遂げられるなら、それはマイクにとっても、野球界全体にとっても素晴らしいことだろう」と希望を託した。
(Full-Count編集部)