データで見る二刀流・大谷翔平の進化 驚異の球速2.6キロUP、“自己新”も連発

フォーシーム平均は術前155.8キロ→158.4キロ、カーブなどが新たな決め球に
ドジャースの大谷翔平投手は今季も投打で目覚ましい進化を見せた。2年ぶりの復活となった投手では14試合登板で1勝1敗、防御率2.87。投球内容を大きく向上させた。打撃でも自己最多55本塁打を放ち、メジャー断トツ146得点と好成績。3年連続4度目のMVPを受賞した今季をMLB公式サイトの「ベースボール・サバント」で紐解いた。
投手でまず目を引くのが球速だ。メジャー自己最速となる101.7マイル(約163.7キロ)を6月22日の敵地・ロイヤルズ戦、9月16日の本拠地・フィリーズ戦で記録。2023年9月の右肘手術前は2022年9月10日のアストロズ戦で出した101.4マイル(約163.2キロ)を上回った。
今季のフォーシーム平均球速98.4マイル(約158.4キロ)は2023年の平均96.8マイル(約155.8キロ)から1.6マイル(約2.6キロ)もアップさせた。エンゼルス時代は平均回転数2200台だったが、平均2467と球質も向上させている。
投げる球種も大きく変わった。フォーシーム(32.9%→38.8%)、縦に変化するスライダー(3.7%→11.3%)は手術前の2023年から投げる割合を増やす一方、故障につながりやすいと言われるスイーパー、スプリットの割合を減らした。術前は投げる割合が一番多かったスイーパーは35.1%から22.8%に、スプリットは5.8%から4.6%となった。
変化球の精度も上げ、カーブ(41.7%→55.0%)、スライダー(32.4%→44.4%)、スイーパー(36.9%→41.8%)は空振り率アップ。三振を奪える勝負球となり、相手打者からすれば、より球種を絞りにくくなった印象だ。
四球率11.1%→15.0%、メジャー自己最速193キロの打球速度も
主に1番スタメンだった打者では選球眼に磨きがかかった。シーズン119四球はキャリアハイで、四球割合は昨季11.1%から15.0%に上昇。初球スイング率は39.6%から33.6%と待つようになり、ボールゾーンスイング率は26.6%から26%に。よりボール球に手を出さなくなった。
長距離砲としても進化を遂げた。打球速度と角度の組み合わせが長打になりやすい理想的な範囲(バレルゾーン)に入った打球の割合を示すバレル率は昨季21.5%から23.5%に向上。昨年11月に左肩手術したのにも関わらず、9月2日のパイレーツ戦で放った46号ソロはメジャー自己最速120.0マイル(約193.1キロ)を記録した。
「すごく調子のいい時期みたいなのがあまりなく、ここまで来ている感じがある」。今季の打撃について9月にこう語っていたが、絶好調がなくても自己最多55本塁打を記録したのは驚異的だ。
ドジャース強力打線の中でもリーグトップの20敬遠を記録。移籍1年目の昨季の10敬遠から2倍増となり、10月27日のブルージェイズとのワールドシリーズ第3戦では4打席連続敬遠も。徹底して勝負を避けられることで、打者・大谷が存在感を放った。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)