“激変”迎える西武、指揮官の偽らざる本音 5位から逆襲も…「もう決まったこと」

西武・高橋光成(左)と今井達也【写真:小林靖】
西武・高橋光成(左)と今井達也【写真:小林靖】

今井達也と高橋光成がポスティング申請、メジャー全30球団との交渉が可能に

 西武からは今オフ、今井達也投手と高橋光成投手がポスティング申請を行い、メジャーリーグ全30球団と交渉が可能になった。先発ローテーションの柱となっていた2人を同時に流出する可能性が高い。昨季最下位に沈んだチームを今季就任1年目で5位に押し上げた西口文也監督にとっては、戦力的に痛いに違いないが、その胸の内は──。

 西口監督は21日、埼玉・武蔵丘ゴルフコースで行われた球団納会ゴルフに出場した。ホールアウト後、記者を前に「ポスティングはもう決まったことですから。チームにとっては痛いけれど、それ以上に、2人に頑張ってもらいたいと思います」とすっきりした表情で語った。

 27歳の今井は直近3年連続2桁勝利を挙げており、今季はリーグトップのWHIP(1投球回あたり何人の走者を出したかを表す数値=規定投球回以上)0.89をマークするなど、まさに脂が乗り切っている。西口監督は「入団当初は今井にしては苦しいシーズンを送っていたけれど、ここまで成長して夢をつかみ、本当にいい評価をしてもらえている。向こうでどれだけ勝てるか、楽しみに見たい」と口元を綻ばせた。

「(松坂)大輔(氏)や(エンゼルスの菊池)雄星(投手)がそうだったように、ライオンズから出ていって、どんどん向こうで勝ち星を積み上げてほしい」と付け加える。西口監督は現役時代、西武ひと筋21年間にわたって主力投手としてチームを支え(通算182勝118敗)、引退後も昨年まで西武で8年間コーチやファーム監督を務めた。松坂氏や菊池にも、ある時は先輩投手として、ある時は指導者としてアドバイスしてきた経緯があるのだ。

 一方、今井より“2学年上”にあたる高橋は、2021年から2023年まで3年連続2桁勝利をマークしていたが、昨季はまさかの0勝11敗。今季も8勝9敗と黒星が先行し、やや評価を下げた感もあるが、指揮官は「なんとかいい契約を取って、頑張ってくれればいいと思います」。西口監督自身が現役時代に付けていた背番号「13」を受け継いでいる投手だけに、思い入れはひとしおだろう。

西武・西口文也監督【写真:小池義弘】
西武・西口文也監督【写真:小池義弘】

クローザーの座はウィンゲンター、甲斐野、山田らで競争か

 今井と高橋の今季先発登板はいずれも、チームトップタイの24試合だった。2人の抜ける穴を埋める上で、最も計算が立ちそうなのが、守護神として今季31セーブでタイトルを獲得し、来季は先発に再転向する予定の平良海馬投手。西口監督は改めて「平良は来年先発です」と明言した。

 プロ入り以来リリーバーとして活躍した平良は一昨年、本人の強い希望で先発に転向し、11勝7敗、防御率2.40の好成績をマーク。しかし昨季途中から、故障の影響やチーム事情で救援に回り、今季も西口監督らの要望で引き続き、リリーフを務めていた。

 平良に代わるクローザーについて、西口監督は「まだ考えていない」と言うが、来日1年目の今季に31ホールド、防御率1.74をマークしたトレイ・ウィンゲンター投手、33ホールドの甲斐野央投手、今季平良以外ではチームで唯一セーブを挙げた(1セーブ)山田陽翔投手、エマニュエル・ラミレス投手らで、その座を激しく争うことになりそうだ。

 毎年のようにFAやポスティングで主力選手が流出する西武だが、スカウティングや育成力で、常に国内他球団やメジャーリーグからニーズのある選手が育っているのも確かである。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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