繰り返すポスティング要望…平良海馬の思い 西武の“ジレンマ”も、最短移籍はいつ?

契約更改交渉を終え会見した西武・平良海馬【写真:宮脇広久】
契約更改交渉を終え会見した西武・平良海馬【写真:宮脇広久】

今季セーブ王に輝き1億円増の来季年俸3億円、来季は先発

 西武では今オフ、先発ローテーションを担ってきた今井達也投手と高橋光成投手の2人がポスティング申請しメジャーリーグの球団と交渉中だが、同じく以前からメジャー移籍を希望している平良海馬投手の今後はどうなるのだろうか。

 平良は26日、埼玉県所沢市の球団事務所で契約更改交渉を行い、1億円増の来季年俸3億円(金額は推定)でサインした。来季は源田壮亮内野手、タイラー・ネビン内野手と並びチーム最高年俸となる見込みだ。今季は守護神として31セーブを稼ぎ、自身初のセーブ王のタイトルを獲得したが、来季は本人の希望通り2年ぶりに先発に復帰する。

 契約更改後の会見で来季の目標を聞かれた平良は「サイ・ヤング賞を獲る。それくらいレベルの高いピッチャーを目指して、頑張っていきたいと思います」と返答し、いたずらっぽく笑った。あえて日本の沢村賞でなく、メジャーリーグで投手にとって最高の栄誉とされる賞を持ち出したところに、海の向こうへの強い思いが伝わってくる気もする。

 以前から契約更改の度に、ポスティングシステムでのメジャー移籍の希望を球団側に伝えてきた。「今日は(メジャーの話は)していないです」と明かしつつ、「毎年言っていることですから、(自分の気持ちは)知っていると思います。おそらく(メジャーに行く時には)ポスティングになると思うので、球団の判断(次第)かなと思います」と言及した。

 まだ26歳と若い平良だが、海外FA権を取得し行使できるのは早くても2028年のオフと見られる。1歳上の今井と3歳上にあたる高橋がポスティングでメジャーへの第1歩を踏み出した今、「自分も早く行けるに越したことはないと思います」と口にしたのは、紛れもない本音だろう。

西武・平良海馬【写真:小林靖】
西武・平良海馬【写真:小林靖】

球団幹部も「渡辺GMの頃から伝え続けていること」と認識

 一方、編成部門トップの広池浩司球団本部長は「(今井と高橋の)2人がポスティング申請している中で、平良のことについては、今のタイミングで話すことではないのかなと思います」と多くを語らなかったが、「平良の場合はもう随分前から、(昨年限りで退団した)渡辺(久信)GMの頃から伝え続けていることですので」と認識を示した。

 球団側としては、FA権を獲得してから“タダ”で出ていかれるのに比べれば、ポスティングは移籍先のメジャー球団から譲渡金が支払われるメリットがある。だが、かといって、エース級の活躍を見込める平良をチームの戦力事情を無視して流出させるわけにもいかない。平良が念願をかなえるのがいつになるかは、昨季は球団史上ワースト記録の91敗を喫して最下位、西口文也監督就任1年目の今季は1つ上がって5位となったチームの戦力が、今後どれだけ整うかにかかっているとも言えそうだ。

“先発”について平良は「単純にチームへの貢献度が高い。自分の価値をしっかり上げられるポジションでもあると思います」と言う。メジャーへ打って出る時にも、できれば先発でと考えている。

 球団側へメジャー移籍の希望を言い始めたのは、今井よりも平良の方が早かったのだが、「そこは何も思いません。今井さんのように僕もしっかりライオンズに貢献して、ポスティングで行けるように、結果を出していきたいと思っているだけです」と言い切った。まずは、出場に意欲を示している来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、改めて世界へ存在をアピールすることになるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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