2軍タイトルも戦力外→新天地でも“吉報”届かず キャリアハイの24歳、受け止めた現実

オリ育成の遠藤が見据える来季
オリックスの育成、遠藤成内野手が得意とする足や小技をさらに磨き、移籍2年目での支配下を目指す。「1軍の戦力として、チームに必要なプレーヤーになるための取り組みをしています」。秋季キャンプを終え、前を見据えた。
秋田出身で東海大相模高から2019年ドラフト4位で阪神に入団。足があり、内野のどこでも守れるユーティリティプレーヤーとして2軍で頭角を現し、2年目のファーム日本選手権ではMVPに輝いた。2024年はウエスタン・リーグで126試合に出場し、打率.262、出塁率1位(.394)、盗塁2位(30)。最高出塁率のタイトルを獲得したが、1度も1軍の舞台に立てないまま、オフに戦力外通告を受け育成契約でオリックスに移籍した。
「支配下になろうという気持ちでやってきましたが、自分からその気持ちを出そうと思ってもうまくいかないんで、その期間を楽しもうという気持ちでいました」。枠の問題や投手と野手の兼ね合いなど、チーム事情があって自分でコントロールできないことは極力考えず、自然体で臨んだ新天地。76試合で打率.282、出塁率.410、長打率.381、出塁率と長打率を合わせたOPSは.791と、プロ6年目でいずれもキャリアハイを達成した。
今季の最高打率は.328に達したが、7月末の支配下登録期限までに吉報は届かなかった。チームが望んだのは「パワーピッチャー」だった。「悔しかったですが、試合は続いていましたから楽しむことを忘れずにやりました」と前を向いて課題に取り組んだ。
「打撃では右の肩が上がりバットが下から入って強いインパクトが与えられないフォームを修正し、ライナーで左中間、右中間を抜いていく。守備はショートの守備固めができるような守備力をつけたいと思っています」。今季は阪神時代に守ったことのない外野にも取り組み、内野もすべてを経験した。
秋季キャンプには、育成選手としてただ1人、参加を許された。「自分でプレッシャーをかけず、自分のやるべきことをやってレベルアップをしたいです。どこでも守ってチャンスを生かしたい」。寡黙で控えめな24歳が、貪欲に支配下を目指す。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)