異例の米挑戦、森井翔太郎が描く未来図「想像以上」 1年前の決断に今抱く思い

インタビューに応じた森井翔太郎【写真:上野明洸】
インタビューに応じた森井翔太郎【写真:上野明洸】

米挑戦1年目を終えた森井翔太郎、独占インタビュー

 アスレチックス傘下での1年目を終えた18歳・森井翔太郎内野手が、Full-Countのインタビューに応じ、シーズンを振り返った。1年前、異色の挑戦と注目を浴びて渡米。「めちゃくちゃ楽しいです。想像以上にできたなと」。アリゾナで過ごした充実の日々を振り返った。

 森井は高校通算45本塁打、投げても153キロの剛速球を誇る二刀流プレーヤーとして、昨年のドラフトでは上位指名も噂された。しかし、メジャーリーガーという夢に最短でたどり着くため、渡米する意向を表明。アスレチックスとマイナー契約を結んだ。

「しんどいこともありますけど、トータルで考えたらすごく楽しい日々でした」。今季はルーキーリーグでプレー。7月まで行われたリーグでは、野手としては43試合に出場して打率.258、3本塁打24打点、OPS.783をマーク。肘の違和感で序盤はノースロー調整だったが、秋の育成リーグでは投手としてもデビュー。登板日は投球だけに専念する形で、最速は95マイル(約153キロ)だった。

「野球をしている時間が一番楽しい」と語る森井は、シーズンが終わっても“野球づけ”の毎日。「休みの日を作るのが嫌なんです……。一喜一憂するタイプなので、出来ていたことが出来なくなったら、休んだからだ……とか考え過ぎちゃうので」。バッティングにピッチング。やることはたくさんある。

打撃フォームも改造…MLB昇格は「2028、2029年に」

 1年目はルーキーリーグで鍛錬を積んだ。メジャー球団がキャンプで使うアリゾナの施設でシーズンを過ごすため、最先端の設備を使いながら練習することもできた。「環境は最高だなと思いました。コーチも監督も親身になって考えてくれていて、監督にはとてもお世話になりました」。大谷翔平投手が当たり前のようにこなす二刀流だが、マイナーでも数少ないのが現実。球団としても手探りな状況だが、森井の意向をサポートしている。

 バッティングではフォームを“メジャー仕様”に変えつつある。これまで立てていたバットは寝かせ気味になった。「コーチから言われたことをできるようにするには、寝かせたほうがいいかなと」。スプリングトレーニングの際には、通算583本塁打のマーク・マグワイア氏からも直接指導。「いろんな人に『左の肘をぶつけるようにしろ』と言われて。寝かせたほうが自然な角度で入っていくなと」。

 ピッチングでもかなりの手ごたえを得た。スプリットは故障明けということもあり禁止されており、変化球はカーブ、スライダーのみ。「カーブは全然打たれる感じが今のところはしていないなと。スライダーもピチっと決まれば空振りが取れる」。今後1Aに昇格すれば、試合数も増えて132試合になる。順調なら開幕から“二刀流”で始動する予定で、降板後に遊撃もしくは二塁を守るプランもある。「1週間に1回くらい投げると思うので、まず1年間投げ切ることを大事にしたい」。

 前例も少ない高卒での渡米。球団が用意する英語の授業も受けながら、「今はチームメートとふざけるような会話もできるくらいにはなりました」と語る。生活面でも徐々に適応。徐々に野球に全集中できるようになってきた。

 話題となった決断を、今どう振り返るのか。「『よくやった』と言いたいですね。全ての選択肢のメリットとデメリットを考えて、最善だなと思ったことだったので。その時の自分は間違っていなかったと思います」。1年目を終え、表情には充実感が漂う。「2028年、29年あたりにメジャーに上がれたら」。視線は真っすぐ、自分の夢の方向を向いている。

【動画】「凄い」18歳森井がマイナーで放った完璧アーチ

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