震災から2年…気温4度の能登に届けた思い 少年相手に「三振」も…過ごした夢の時間

輪島市で開催された野球教室【写真:北野正樹】
輪島市で開催された野球教室【写真:北野正樹】

日本航空高石川出身の内藤鵬は前日から輪島入り

 2024年1月1日に発生した能登半島地震から間もなく2年。被災地の野球少年少女を励まそうと、ロッテ・角中勝也外野手ら石川県にゆかりのある選手ら9人が13日、輪島市の日本航空高石川で行われた野球教室「夢よ!届け!少年少女野球教室 2025 in 能登」で、子どもたちを指導した。

 能登町のブルーベリー農園の復興支援など、震災後に被害の大きかった能登地方の5町(輪島市、珠洲市、七尾市、穴吹町、能登町)の支援を続けている京都市の健康企業「わかさ生活」が京都放送(KBS京都)と開催。能登地方の約110人の子どもたちが参加した。

 指導したのは、角中(七尾市出身、日本航空高石川)のほかオリックスの寺西成騎投手(能美市出身、星稜高)、内藤鵬内野手(日本航空高石川)、西武・森脇亮介投手、牧野翔矢捕手(穴水町出身、遊学館)、阪神・川崎俊哲内野手、石川ミリオンスターズ・浜新之助投手、殿田大和内野手、高瀬昌太郎投手の9選手。同社が京都で開いた野球教室からプロ入りした森脇を除き、石川にゆかりがある選手が、趣旨に賛同して参加した。

 4時間近くの指導はキャッチボール、バッテリーと野手に分かれての投球、守備練習、打撃練習など。子どもたちとNPB(日本野球機構)選手の対決では角中選手が三振を喫する場面もあり、グラウンドは気温約4度の寒さを吹き飛ばす熱気に包まれた。

 日本航空高石川出身の内藤は、震災後に能登地方を訪れるのは初めて。「よく声をかけていただいた朝市のおばちゃんたちがどうしているのか、現地を見てみたい」と、前日に輪島入り。焼けて建物のなくなった朝市周辺や仮設住宅、いまだに残る道路のくぼみなどを見て、被害の大きさと長く続く復興の道のりを実感したという。「僕ができることは、長打を打ってみなさんに喜んでもらうこと」と、4年目の飛躍を誓った。

子どもたちに指導するロッテ・角中勝也【写真:北野正樹】
子どもたちに指導するロッテ・角中勝也【写真:北野正樹】

 七尾市内の実家が被災した角中は「(震災という)いいきっかけではなかった野球教室ですが、子どもたちに元気を与えるつもりできたのに、逆に元気をもらって来年も頑張りたいなという気持ちになりました。成績で故郷のみなさんに恩返しもしたい」と、気持ちを新たにしていた。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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