主力2人が流出の可能性も…ズラリ並ぶ西武期待の逸材 守護神は先発へ、5位にあった“希望”

今季は最下位も投手陣はリーグ3位の防御率2.99
昨年91敗を喫し、最下位からの巻き返しを狙った2025年の西武は、63勝77敗3分の5位でシーズンを終えた。投手陣はリーグ3位の防御率2.99を記録し、完封試合はリーグトップの24。先発・リリーフともに安定したシーズンとなった。
開幕投手を務めた今井達也は、今季も安定した働きで3年連続の10勝をマーク。力感のないフォームで160キロ近い直球を投げ込み、リーグ2位の178奪三振で奪三振率9.79、さらに被打率もリーグトップの.176で、防御率1.92を記録した。開幕から10試合連続のHQSとするなど、5月には5試合で3勝、防御率0.97で月間MVP賞を獲得。6月17日のDeNA戦では、バウアーとの投げ合いで球団新記録となる1試合17奪三振で無四死球完封勝利を挙げ、圧倒的な力を見せつけた。
昨季は15試合で0勝11敗に終わる苦しいシーズンを送った高橋光成。今季は開幕ローテーション入りするも4試合未勝利だったが、4月29日についにその機会が訪れる。楽天を6回4安打無失点に抑えると、2023年9月以来、597日ぶりの勝利を挙げた。その後もローテーションを守り、24試合で8勝9敗、防御率3.04の成績を残した。11月に球団がポスティング申請を行い、両投手のメジャーリーグ挑戦への道が開いた。発表後に行われたファン感謝イベントでは、クロージングセレモニーの最後にファンへ一礼。今井が感極まって涙を見せると、高橋と固い握手を交わし、ファンからも2人へ温かい拍手が贈られた。
隅田知一郎は開幕から4戦4勝、防御率0.58と快投を続け、3・4月度月間MVPを獲得し、オールスターにも初出場。夏場以降は調子を落とした期間もあったが、9月21日の楽天戦で10勝目を挙げ、4年目にして自身初となる2桁勝利を達成した。最終成績は23試合で防御率2.59、10勝10敗。来季はエース候補として、さらなる活躍に期待がかかる。7年目右腕・渡邉勇太朗は、大きな飛躍を遂げた1年となった。開幕2戦目の先発を務めると、キャリアハイの23試合に登板し、防御率2.69をマーク。5月、6月は防御率0点台と好成績を残し、9月6日のロッテ戦では自身初の完投・完封勝利を無四死球マダックスで達成した。
今井と高橋が移籍した場合、来季の先発陣に不安を抱えることになるのは間違いない。しかし今季も16試合の登板で6勝5敗、防御率2.50と安定した成績を残した與座海人や、2024年新人王の武内夏暉がいるほか、平良海馬も先発陣に加わるとみられる。ほかにも序盤に快投を続け5勝を挙げた菅井信也や、高卒ルーキーながら1軍デビューを果たした篠原響など、若手先発陣の成長が楽しみな1年となりそうだ。
救援陣では3年目の山田がデビューから15試合連続無失点と飛躍
一方、リリーフ陣は守護神・平良海馬が最多セーブのタイトルを初めて獲得。5月から7月にかけては18試合連続無失点と抜群の安定感を発揮し、54試合で4勝2敗8ホールド31セーブ、防御率1.71の好成績を残した。来季は先発へ転向するとみられるが、2023年には先発として11勝も挙げている。再び先発として、チームに多くの勝利をもたらすことはできるか。
序盤からセットアッパーとして活躍したのは甲斐野央。6月15日には15試合連続のホールドポイントで球団記録を更新し、チームトップ、リーグ2位の33ホールドを記録した。また、3年目・山田陽翔は、4月3日に公式戦初登板を果たすと、デビューから15試合連続無失点。変化球を巧みに操る投球スタイルで年間通して49試合に登板、3勝3敗17ホールド、防御率2.08、リリーフ陣の新星として輝きを放った。
今季は新助っ人リリーバーの活躍も光った。トレイ・ウィンゲンターは49試合に登板し、1勝4敗31ホールド、防御率1.74をマーク。奪三振率13.31と1年目から圧倒的な能力を発揮し、チームに大きく貢献した。エマニュエル・ラミレスも一時離脱こそあったものの、23試合連続無失点など27試合で防御率1.01と安定した投球を継続した。
新戦力も躍動し、充実したリリーフ陣。勝ちパターンではなかったものの、7月から20試合で防御率1.04と好投を続けた中村祐太や、29試合に登板した黒木優太、日本人左腕最速の160キロを記録した羽田慎之介など、さまざまな投手がブルペンを支えた。来季は平良が先発転向となれば、誰が守護神を務めるのか、各投手の起用が気になるところだ。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)