投げ方指導で「7割が悩む」…強い球妨げる“前折れ” 股関節主導に導く椅子ドリル

投げ方指導で多くが悩む選手の動作とは(写真はイメージ)
投げ方指導で多くが悩む選手の動作とは(写真はイメージ)

野球塾運営・長坂秀樹氏が実演…椅子に座る動きと投球を組み合わせたドリル

 アンケートでは、4人に3人が指導で悩んでいる驚きの結果が明らかになった。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」の第3回が、15日に開催された。参加者の悩みで最も多かったのは、「軸足の膝が前に折れる」投げ方。イベントに出演した野球塾「Perfect Pitch and Swing」代表の長坂秀樹さんが効果的なアイテムとして勧めたのは、「椅子」だった。

 全4回のイベントでは、専門家たちが投げ方の悩みを解決するポイントやドリルを解説している。3回目の講師に招かれた長坂さんは現役時代に最速152キロを記録した投手で、引退後は投げ方に重点を置いた野球塾を運営している。

 イベントでは参加者から投げ方の悩みについてアンケートを取り、その中で最も多かった回答が「軸足の膝が前に折れる」だった。複数選択式で、全体の76.7%を占めた。軸足の膝が前に折れると力が逃げてしまい、強いボールを投げられなくなる。そして、長坂さんは「膝が折れる選手は、膝がつま先よりも前に出ている状態で投げています」と指摘した。

 そこで長坂さんが紹介したのは、椅子を使った改善ドリルだ。内容はシンプルで、椅子に座る動きを投球動作に組み合わせるだけ。軸足一本で立ち、踏み込む足は浮かせて前に伸ばした形で股関節を曲げて椅子に座る。そこから、形を崩さずに軸足一本で立ち上がって投げる。長坂さんが意図を説明する。

「椅子に座る時、膝はつま先より前に出ません。自然に股関節が曲がります。骨盤を後ろに倒す感覚です。椅子に座る際は頭の位置を変えずに、ひらがなの『く』をつくるイメージ。下半身と上半身は連動しているので、下半身の動きが直ると上半身も良くなるケースがあります」

町田玉川学園少年野球クラブの「ひしゃくドリル」の様子【写真:伊藤賢汰】
町田玉川学園少年野球クラブの「ひしゃくドリル」の様子【写真:伊藤賢汰】

内旋の動きで球速アップ…有効なアイテムは「ひしゃく」

 長坂さんは身近にあるものや、100円ショップで購入できる安価なアイテムを使った投げ方改善ドリルを、他にも実演した。ボールの強さを向上させるために重要な、腕を体の内側に回す「内旋の動き」を身につけるには、先端に重さや空気抵抗がある「ひしゃく」が有効だという。ひしゃくを持ってシャドーピッチングすると、肩を内側に回旋させる感覚が分かりやすい。長坂さんはポイントを次のように話す。

「手の平を外側に向けながら腕を振ります。右投げの場合、手の平は一瞬だけ捕手方向に向いてから三塁側の方に向き、最後は空を向きます。三塁側を向いた状態で投げ終わってしまう選手が多いと感じます。内旋の動きは人体の中で一番速いと言われているので、上手に使わないと球速は上がりません」

 球速や球威は、手足の長い選手や体重が重い選手の方が有利なのは否定できない。ただ、力をロスしない体の使い方や投げ方を身に付ければ、投球や送球は飛躍的に良くなる。12月の毎週月曜日に開催している「投げ方改善4DAYS」は、22日が最終回。野球塾「Mac’s trainer room」代表の高島誠さんが球速アップにつながる「股関節の動き改善ドリル」を紹介する。

投球・送球がうまくなる練習法を紹介 「投げ方改善4DAYS」開催中…見逃し配信あり

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、今月22日までの毎週月曜日、計4日間のオンラインイベント「投げ方改善4DAYS」を開催中です。投球・送球フォームの癖の直し方、球速アップにつながる指導法、正しいキャッチボールなど、選手・指導者・保護者に向けて、小学生・中学生の各野球カテゴリーで豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。見逃し配信もあります。出演者などの詳細は以下のページまで。

【投げ方改善4DAYS・詳細】

https://first-pitch.jp/article/well/20251126/13493/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

https://id.creative2.co.jp/entry

(間淳 / Jun Aida)

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 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

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