桑田真澄氏が“甲子園のルール”に疑問 球数制限は「意味がない」…力説した改善策

「デジタル野球教室」にスペシャルコーチとして参加
甲子園の申し子が、現在の高校野球の球数制限に疑問を呈した。ライブリッツ株式会社が主催する「デジタル野球教室」が21日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで行われ、今季まで巨人2軍監督を務め、来季からオイシックスのチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任する桑田真澄氏がスペシャルコーチとして参加。硬式野球クラブに所属する中学生30人に助言を送るなか、高校野球界の変化に持論を展開した。
イベント終了後の囲み取材で高校野球の球数制限について聞かれた桑田氏は「7日間で500球はそのままですか? それだと、あまり意味がないですよね」と返答。プロ野球の先発投手が9回完投する場合は平均すると120~130球程度。中6日で回るケースが多く、基本的に1週間に1度の先発となる。
それと比較すると、最大で4倍近く投げられる計算になる。「球数制限というのは、登板間隔と両方を合わせてやって初めて学生の体を守れると思います。両方やらないと何の意味もないです」。そう主張し「試合をする時間帯も含めて考えないと」と続けた。
高校野球の甲子園大会は1日最多で4試合行われる。春の選抜大会は気候的に大きな問題はないが、夏は近年の温暖化の影響もあり、猛暑が与える影響は大きい。今夏は一部の日程で猛暑の日中を避けて「朝夕2部制」も採用されたが、4試合目の試合終了が深夜に及んだケースもあった。
夏の甲子園は1か月程度の日程のススメ…投手の負担も軽減
日程の問題について桑田氏は「野球界が一つになればいい。1か月間、甲子園球場を貸してあげてもいいわけじゃないですか。8月はみんなで高校野球を応援しようって、野球界みんなが応援してサポートしてあげればいい」と力説。例年、“死のロード”が話題になる阪神について「試合ができないことはない」と指摘した。
「神宮球場はやっているじゃないですか」。東京六大学野球や東都大学野球のリーグ戦を日中に行い、ナイターでヤクルトの主催試合が行われている神宮のケースを引き合いに出し「できないことはないんですよ」と力を込めた。
大学野球開催日は、ヤクルトは球場に隣接する室内練習場で試合前練習を行うなど調整しており、甲子園でも同じことが可能だと主張する。例えば午前中に高校野球を2試合やって、ナイターで阪神の主催試合を行う。甲子園大会の日程は長くなるが、登板間隔は空いて投手の負担は軽減されるというメリットも生まれる。
PL学園時代は5大会連続で甲子園に出場し、歴代1位の通算20勝をあげ、歴代2位タイの6本塁打を記録するなど甲子園を知り尽くす桑田氏の言葉は重い。「時代とともに、どんどん改善策をやるべきだと思うんです」。願うのは高校球児の故障防止。そして高校野球のさらなる発展だ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)