2年連続最下位でも「いい選択」 村上宗隆のWソックス入り、OB井口氏が断言する理由

ホワイトソックスで4人目の日本人選手が誕生
ホワイトソックスに入団した村上宗隆内野手が22日(日本時間23日)、本拠地レート・フィールドで入団会見に臨んだ。背番号「5」がついた縦縞のユニホームを身にまとう日本人スラッガーの誕生を「本当に嬉しい」と喜ぶのが、球団OBでもある井口資仁氏だ。2005年、移籍1年目で正二塁手として世界一に貢献した井口氏は、村上とホワイトソックスとの適性をどう判断するのか。
ヤクルトからポスティングシステムを通して米移籍を目指した村上。その移籍先には様々な球団名が挙がり、長期大型契約も予想されたが、交渉期限ギリギリに発表されたのは、ホワイトソックスとの2年3400万ドル(約52億7000万円)という契約だった。
ホワイトソックスと言えば、今季までヤクルトを率いた高津臣吾氏から始まり、井口氏、福留孝介氏と日本人3人が所属。傘下マイナーでは野茂英雄氏がプレーしたこともある。2005年から2007年7月にトレード移籍するまで、ホワイトソックスで主力として戦った井口氏は「村上選手はいい選択をしたと思います」と説明する。
「何よりもまず、本拠地が“ヒッターズパーク”と呼ばれる打者に有利な球場であること。長打が出やすい場所なので、村上選手であれば反対方向への本塁打も多く打てると思います。そして、シカゴは非常に住みやすい街。日本人の方々も多く住んでいますし、ファンも温かい声援を送ってくれる。また、チームが違うとは言え、同じシカゴに拠点を置くカブスには今永昇太投手や鈴木誠也選手もいますから。同じ街にいるというだけでも心強いはずですよ」
OBが語る低迷球団加入の利点「村上選手にはいい環境」
さらに、広大な北米大陸の中でも中西部のシカゴを拠点とするメリットについても説く。
「想像以上に選手の負担になるのが移動です。中地区の場合、同地区チームが比較的近場にあるので、移動距離や移動時間が短くて済むし、西海岸、東海岸に遠征する場合でも、時差も含めて他地区に比べると負担は軽い。シーズンを通して考えると、ここが軽減される意味は大きいと思います」
ホワイトソックスと言えば、2021年にア・リーグ中地区を制して以来、チームは低迷。今季は60勝102敗で終え、3シーズン連続で100敗という不名誉な記録を残してしまった。一方で、ドラフトやトレードを通じて集まった若手有望選手も多い。
「まさに『これから』のチーム。だからこそ、村上選手は制約が少ない状況で、しっかり自分のプレーに向き合うことができるのではないかと思います。成熟した強豪チームだと優勝や勝利が必須となるので、どうしても制約がかかってしまうけれど、ホワイトソックスは再建中のチーム。もちろん勝利を目指すことが大前提ですが、選手の育成も同時進行する状況ですから、新しい環境へのアジャストが求められる村上選手にはいい環境と言えますよね」
チーム再建の中心人物でもあるクリス・ゲッツGMとウィル・ベナブル監督は、井口氏と縁の深い人物でもある。ゲッツGMは2005年ドラフトでホワイトソックス入りした二塁手で、井口氏の移籍後に二塁を引き継いだ。ベナブル監督とは2008年にパドレスでプレーした際、チームメートだった。こうした不思議なつながりも含め、OBの1人として「また、日本人選手があの縦縞を着る姿が見られるのは嬉しいし、楽しみですよね」と声を弾ませる。
「今は弱いチームのレッテルを貼られていますから、村上選手をきっかけに日本でもっとホワイトソックスのキャップを被る子どもたちが増えてくれるといいですね」
日本人選手とは縁の深いシカゴで、村上が躍動する姿を期待したい。
(佐藤直子 / Naoko Sato)