村上宗隆に潜む意外な“敵” ホ軍OBの井口資仁氏ならではの指摘…「心が折れる」

ホワイトソックスの入団会見に臨んだ村上宗隆【写真:ロイター】
ホワイトソックスの入団会見に臨んだ村上宗隆【写真:ロイター】

井口氏も経験したメジャーへの順応

 ホワイトソックスへの入団が決まった村上宗隆内野手が22日(日本時間23日)、本拠地レート・フィールドで入団会見を行った。日本人選手がメジャーに移籍する際、投打を問わずに必ず求められるのが、メジャーへの順応だ。2005年にホワイトソックスで世界一を経験した井口資仁氏は、打撃面に関しては「よりシンプルな打撃」がカギを握ると見ている。

 若いパワー系の左打者として魅力溢れる村上だが、メジャー関係者の間では三振率の高さと内角速球への対応が課題とされている。入団会見でもスイングの改善について質問を受けた村上は「見てくれれば分かると思いますし、説明するより結果で残していきたいと思っています」と答えた。これについて井口氏は特効薬はないとし、こう説明する。

「課題である速い球への対応は、正直、慣れしかないと思います。慣れていく中で、自分の形から微調整しながら、どう打撃をよりシンプルに変えていくか。これは、いきなり打てというのは難しいので、スプリングトレーニングから1年間を通してどう乗り越えていくかだと思います」

 井口氏自身、メジャー移籍後にまず、微調整の必要性を感じたのは「タイミングの取り方」だったという。試合前の打撃練習を見ても、日本に比べてメジャーでは打撃投手と打者との距離が短く、速いテンポで次から次へとボールが投げ込まれる。

「打者というのはタイミング勝負。最初はバッティング練習も含め、そのテンポの速さに戸惑いました。試合中の打席でも、かなり変則的な投げ方をする投手もたくさんいるので、そのタイミングにいかに合わせられるか。村上選手はバットに当たれば間違いなく遠くまで飛ばせるパワーと技術を持った選手なので、タイミングをどうやって掴むかがポイントになりそうです」

 日本では導入されていないピッチクロックへの対応も心配されるが、「WBCではピッチクロックが採用されることになっているので、そこでかなり慣れるのではないかと思います」と井口氏。村上自身、WBC出場については意欲的で、クリス・ゲッツGMも出場許可を明言している。

 守備に関しては、本来専門とする三塁ではなく、一塁で起用される可能性が高い。村上も守備に関しては「あまり自信はない」と言葉少なだが、「それを克服してしっかり努力して上達します」と向上心は高い。守備の名手として知られ、ロッテでは監督を務めた井口氏は「おそらく一塁起用でしょうが、三塁と両方守れる方が村上選手にとって、いい意味で幅が広がる。たまに三塁にも挑戦して、守れる姿を見せておいた方がいいでしょう」とアドバイスを送る。

シカゴは「心が折れるくらい寒くなる」

 ホワイトソックスに入団したことで、村上はすでに“1つの壁”を払拭している、と井口氏は言う。

「意図した選択ではないでしょうが、ドジャースが所属するナ・リーグではなく、ア・リーグの球団を選んだことは良かったと思います。ナ・リーグにいれば、嫌でも大谷(翔平)選手と比較されてしまう。そこで不必要なプレッシャーが掛かってしまう可能性がありますからね。できるだけ雑音が少ない環境で実力を発揮してほしいと思います」

 村上について「どれだけできるか、非常に楽しみ」と期待を寄せる。「大谷選手は別として、日本のパワーヒッターがなかなか成功しないと言われる中で、村上選手は3冠王をはじめ色々と日本の記録を持っている打者。力まず、焦らずやってもらいたいと思います」とエールを送る。

 そして最後に、シカゴの気候を知る先輩からアドバイスを1つ。

「寒さ対策はしっかりと。開幕の最初の1か月くらいは、心が折れるくらい寒くなることがあるから。そこは十分に準備しておいた方がいいですね」

 シカゴは4月でも雪が舞う日もある。ホワイトソックスの本拠地開幕戦は4月2日(同3日)ブルージェイズ戦。開幕戦を含め、4月は本拠地戦が15試合予定されている。先輩のアドバイスを胸に、寒さ対策にも取り組みたいところだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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