球団からの電話で「ピンときた」 激痛の右肩、眠れぬ夜…安堵した“通告”「ホッとした」

新たに楽天で投手コーチを務める小野寺力氏
NPBで10年間プレーし310試合に登板した小野寺力氏(楽天投手コーチ)は、2011年に西武からヤクルトへトレード移籍したが、慢性的な右肩痛が悪化し、2年間でわずか10試合の登板に終わった。2012年オフに戦力外通告を受けたが「ホッとした部分があった」と当時の心情を告白した。
西武入団2年目の2004年から慢性的な右肩の痛みと戦い続けてきた。「ずっと痛いなかでやってきました」。痛みの出ない投げ方を模索する日々。球速が目に見えて落ちた時期もあった。それでも自ら離脱を申し出なかったのは「1軍から外れたくなかった。2軍に落ちたくない。その一心でした」。
トレード年となった2011年も同じように痛みを抱えて迎えた。本来の調子がでずに1軍登板機会がないまま、5月にヤクルトへトレード。タイミング悪く、痛みは激化してしまったという。キャッチボールはままならず、痛みで眠れない。2012年を4試合で防御率7.71という成績で終えると電話が鳴った。
「もうピンと来ました。まあ、わかりますよね。あんな成績だったし」
シーズン途中から覚悟していた戦力外。実際に告げられると「もう、この痛みと戦わなくていいんだ。離れられると思ったら少しホッとした部分もありました」。韓国など海外でのプレーも考えたが「メディカルチェックで絶対に引っかかるし引退することにしました」。
6歳上の実兄で、巨人に3年間所属した進藤実氏からは、右肩の状態を知っていたこともあり「お疲れさま。よく頑張ったな」と声をかけられた。プロ10年間、西武では守護神を担ったシーズンもあり310試合の登板で23勝24敗、59セーブ、31ホールドの成績を残した。引退後は西武でのスタッフやコーチ、ヤクルトでは主に2軍で9年間コーチを務め、若手育成に尽力した。
「本当にいろいろな経験をさせてもらいました。厳しい世界だということ、大先輩に叱られたこと、教えてもらったこと、全てが財産です」。2026年からは楽天のコーチとして再スタートを切る。
「新たな出会いに感謝ですし、またユニホームを着させていただくことはありがたいです。若い投手が多いので、これからのチームだと思います」。苦しみながらも諦めずに戦い抜いた10年間が指導の力となっている。楽天の投手陣に、小野寺氏の経験と情熱が注がれる日々が始まる。
(湯浅大 / Dai Yuasa)