DeNAを“変えた男” 桑原が西武にもたらす変革…低迷打破へ、求められる役割

豊富な経験と勝負強さを備えた新戦力の価値
西武はこのオフ、積極的な補強に動いた。その中でも、FA権を行使して入団した桑原将志外野手の存在は、チーム編成において重要な意味を持つ。実働14年で通算1239試合に出場してきた豊富な経験に加え、2024年の日本シリーズでMVPを獲得した大舞台での勝負強さは、若手比率の高いチームにとって大きな財産である。
長年にわたり第一線で戦ってきた実績は、単なる戦力補強にとどまらない価値を生む。試合の流れを読む力や局面での対応力は、数字には表れにくいが、チーム全体の底上げにつながる要素である。新天地で担う役割は、プレーそのものに加え、グラウンド内外での影響力にも及ぶ。
ここでは、これまでの成績や各種指標を基に、桑原が持つ特徴と強みを整理する。走攻守にわたって高水準の能力を示してきた実績を振り返りながら、西武にもたらす変化と可能性を掘り下げていく。
桑原は2021年に135試合に出場し、打率.310を記録した。直近の2025年も規定打席に到達し、打率.284と安定した成績を残している。シーズン2桁本塁打を3度記録してきたパンチ力も備えており、得点力不足が課題となってきた西武にとって、計算の立つ打撃は大きな魅力である。
打者としての生産性を示すOPSは、通算で.722を記録している。レギュラーに定着した2016年から3年連続でOPS.740以上をマークし、2021年には.843まで数字を伸ばした。2022年以降は3年続けて.600台にとどまったものの、2025年は.730とキャリア平均を上回り、状態の回復を明確に示した。
守備面でも評価は高い。2017年と2023年には三井ゴールデン・グラブ賞を受賞し、外野守備における安定感はリーグ屈指である。打撃と守備の両面で一定以上の水準を維持してきた点は、新天地でも即戦力として期待できる根拠である。
打撃内容と走塁が示す進化、外野再編の起点へ
三振数を打席数で割った三振率は通算15.8%。直近5年間では4シーズンで13%台以下を記録しており、コンタクト力の高さが際立つ。一方で、四球率は通算6.9%にとどまり、積極的に振っていく打撃スタイルが数字にも表れている。
選球眼を示す指標の一つであるIsoDは通算.062で、突出した値ではない。ただし、三振と四球のバランスを見るBB/Kは通算0.44と平均的な水準にあり、2021年には0.59、2025年には0.51を記録した。近年の推移からは、ストライクゾーンの管理能力が向上していることが読み取れる。
走塁面では通算99盗塁を記録している。盗塁成功率は通算.664と平均的だが、2024年は8盗塁、2025年は10盗塁で失敗はいずれもなしと、直近2年間は精度が大きく改善した。30代に入ってなお、技術面での進化を続けている点は評価材料である。
西武は2019年オフに秋山翔吾外野手が退団して以降、センターを中心に外野陣の固定に苦しんできた。2025年は西川愛也外野手が124試合に出場し、打率.264、10本塁打、25盗塁と存在感を示し、若手外野手の台頭も見られた。その流れの中で、実績十分の桑原外野手が加わることは、守備力と競争力の両面で外野再編を加速させる要因となる。
DeNA時代、低迷期からの浮上を経験してきた外野手は、新天地でも同様の役割を担う可能性がある。経験と安定感、そして勝負強さを備えた新戦力が、西武の外野にどのような変化をもたらすのか。その働きは、チームの上位進出を左右する重要な要素となりそうである。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)