テレビの前に4時間、重苦しい教室…諦めかけたプロ入り “最終指名”から誓う下剋上

ソフトバンク・大山北斗【写真:竹村岳】
ソフトバンク・大山北斗【写真:竹村岳】

ソフトバンクは育成ドラフト8位で大山北斗を指名

 テレビの前で待ち続けること4時間。116人目に呼ばれた名前にホッと一息ついた。昨年10月23日に都内のホテルで行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。ソフトバンクから育成8位指名を受けた大山北斗投手は中大準硬式出身。NPBの現役選手では高島泰都投手(オリックス)以来となる大学準硬式野球部出身者だ。

 大山は沖縄・興南高時代、巨人から3位指名を受けた山城京平投手(亜大)と双璧を成す活躍を見せた。複数の大学から勧誘があったが、小泉友哉監督の熱意に押され、中大準硬式野球部に入部。過酷な練習を乗り越え、大学3年時には152キロを記録するまでに成長。“隠れた逸材”として、徐々に注目を集めるようになった。

 大山は大学卒業後、社会人野球に進む予定だったという。“先例”でもある高島と同じ社会人野球からのプロ入りを目指すつもりでいたが、小泉監督や同僚、家族から後押しを受け、意を決してプロ志望届を提出した。「イチかバチかで出しました。育成でも(プロに)行けたらいいなって」。

テレビの前に4時間…同僚と待ち続けた指名

 迎えたドラフト会議当日、チームメートと大学の教室でテレビ中継を見守った。あっという間に時間は過ぎた。支配下で名前は呼ばれず、育成ドラフトが始まった。12球団、全ての選手の指名を固唾を飲んで見守った。

 フライングもあった。「おおや、って呼ばれたので、盛り上がったんですけど……」。ソフトバンクの育成3位で指名されたのは大矢琉晟投手(中京大)。“フライング”で湧いた教室もすぐに静まり返った。

 午後8時、テレビを見続けて4時間が経過。教室には重苦しい空気が漂っていた。諦めかけた時、ついにソフトバンクから育成8位で指名を受けた。それと同時に全球団が終了。116番目、最後の指名選手となった。

「1番行きたかった球団ですね。育成も上手というイメージがあるので、努力次第で這い上がれるかなと」。沖縄出身で幼いころからのソフトバンクファン。目標とする選手には、育成から世界に羽ばたいた千賀滉大投手(メッツ)を挙げる。

「1年目に支配下を取れたらいいなと思います」。冬の自主トレで硬式球への適応には手応えを感じている。育成8位指名、準硬式野球からの転向とはいえ、スタートラインは同じ。“最下位指名”からの逆襲へ――。その目には闘志が宿っていた。

(井上怜音/ Reo Inoue)

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