当落線上から一気に主役へ 1年春から存在感…プロ注目154キロ右腕を後押す“新ルール”

昨夏、甲子園で登板した横浜・織田翔希【写真:加治屋友輝】
昨夏、甲子園で登板した横浜・織田翔希【写真:加治屋友輝】

昨秋の関東大会準々決勝で敗退し“当落線上”だった

 主役はこの男かもしれない。第98回選抜高校野球大会(3月19日開幕=甲子園球場)に出場する32校が30日に発表され、昨年優勝の横浜(神奈川)も2年連続18度目の出場が決まった。最速154キロ右腕で、今秋ドラフト1位候補と目されるエース・織田翔希投手(2年)に、改めて熱い視線が注がれそうだ。

「成長した自分を見せたいです」。自身3度目の甲子園出場が決まった織田は、そう言い切った。

 超名門の横浜で、1年生の春から公式戦に登板し“スーパー1年生”と騒がれた。2年生となった昨年は春の選抜で優勝に貢献し、夏の甲子園でも8強入り。順調に成長を見せていたが、エースナンバー「1」を背負った秋につまずく。10月の秋季関東大会では高崎商大付(群馬)との1回戦に先発するも7回2/3、4失点(自責点2)の“苦投”。続く専大松戸(千葉)との準々決勝は、7回からリリーフして1失点を喫し、チームは2-4で敗れた。この敗戦によって選抜出場は“当落線上”に追い込まれていた。

「負けた言い訳にはできませんが、昨秋は投球フォームにずれがたくさんあり、いろいろなフォームを試しながら、試行錯誤していました」と振り返る織田。敗退後も「絶対(選抜出場校に)選ばれると信じて」と練習を重ね、安定したフォームに近づいていった。

 以前は走者がいない時にはノーワインドアップで投げることが多かったが、セットポジションで固定。「自分としてはノーワインドアップの時に比べて制球が安定したと思います。選抜も変えずにいこうと思います。今は“軸”を一番大事にしていて、(左足を上げた時に)軸足(右足)の母指球、小指球、かかとの3点で立つことを意識しています」と説明する。

 昨夏の時点では、185センチの長身に対し体重は76~77キロでやや線が細い印象だったが、最近80キロ前後まで増量。逞しさも増した。

昨夏の“四天王”のうち3人が再会も「ライバル視はしない」理由

 昨夏の甲子園では、同じ2年生の沖縄尚学・末吉良丞投手、山梨学院・菰田陽生投手、聖隷クリストファー(静岡)・高部陸投手とともに活躍し“四天王”と称された。選抜では末吉、菰田と再会することになるが、織田は「もちろん素晴らしい選手たちですが、そこと戦うというより、このチームのためにということを一番意識しているので、特にライバル視はしません」と自分の言い聞かせるように語る。

 昨年の春、夏に続いて自身3回目の甲子園とあって、「余計な力が入ってしまうこともあるでしょうし、バックを守るメンバーが変わるので考え方も少し変わるとは思いますが、臨機応変に対応することが勝利につながるので、そこは経験値の見せ所かなと思います」と頼もしい。

 一方で、1年生の春から主戦として投げ続けてきただけに、勤続疲労を心配する声もあるが、そこは今年から高校野球に導入されるDH制が助けになりそうだ。村田浩明監督は「DH制はすごくありがたい。投手にとって“投げて、打って”は負担が大きいですから。織田はせっかく打撃が良くなってきたところではありますが、まだ体力がつき切っていませんし、夏も大事にしていかなければならないので、怪我のリスクを減らしたいと考えています」と織田の“打撃免除”を示唆している。

 織田自身は「まだDH制を経験していないので、はっきりとはわかりませんが、体力を温存できるという考え方はできる。いい風に受け止めたいと思います」と言及。「DHを解除するケースもありうるので、打撃練習は続けていきます」と付け加えた。

 今後は“今秋ドラフト1位候補”の肩書きが付いて回ることになるが、「どこで誰に見られているかわからないですし、マウンドでの表情はもちろん、私生活の行動でも、自分がエースとして自覚を持たないとチームに悪い影響が出ると思うので、責任を持って生活していきたいです」と覚悟している。 

「自分たち横浜高校にだけチャンスがある」と強調するセンバツ連覇へ向け、“当落線上”にいたチームを一気に押し上げる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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