侍J抜擢も…苦悩の2年間「イケイケではやられる」 広島のシンデレラボーイが狙う逆襲

2年間で本塁打はわずか1本、田村が痛感したプロの壁
広島の田村俊介外野手が、2軍春季キャンプで静かに爪を研いでいる。2024年3月に侍ジャパンの欧州代表戦メンバーに選出され、プロ初の開幕スタメンも掴んだ。しかし、若き主砲を待っていたのは高くて厚いプロの壁。苦悩の2年間を経験した田村は、決意を新たに、宮崎・日南で練習に明け暮れている。
鮮烈なデビューから一転、高い壁にぶつかった。1軍初出場の2023年に打率.364、OPS.818をマークしたが、飛躍を期した2024年は打率.198、0本塁打、5打点と低迷。昨季も25試合の出場で打率.254、1本塁打、4打点と、本来の打撃は影を潜めた。結果の出ない日々が続いたが、試行錯誤の中で見つけたものもある。「いろいろ新しい発見があった2年間だったとは思います」。現実から目をそらさず、自身の打撃とひたすら向き合ってきた。
春季キャンプでは、その課程で見つかった課題の克服に取り組んでいる。「打ちに行くとき、無意識のうちに、一回ピッチャーを背中越しで見てしまう傾向があって。意識してそれを直すようにしています」。映像でも確認しながら修正を重ね、「悪い癖がだんだん直ってきています」と手応えを口にする。
1軍での苦い経験も成長の糧にしている。「向こう(投手)が抑えにきているのに、勢いだけでイケイケでいったら、それはやられるなと」。アウトを積み重ねた“結果”は、思考の大切さを再認識させた。「これまで以上に考えて打席に入らないといけないとすごく感じています」と、がむしゃらさだけでは通用しない現実を痛感したことも、田村の“財産”となっている。
オフは松山竜平と自主トレ、大事にした“継続”
勝負の5年目に向けて、オフは師匠と慕う松山竜平と自主トレを行った。「新しいことを教えてもらうとかはなく、秋季キャンプでやってきたことを継続してやらせてくださいと伝えて練習に取り組みました」。2月からのキャンプに向けて土台を固める作業に没頭した。
「同じことをやり続けるにも、やっていると疑問に思うことが出てきたりします。その時に分からないままやるんじゃなくて、経験値の多い方に教えてもらうのは大事だと思い、松山さんにお願いしました」。今季から、オイシックス新潟アルビレックスBCの選手兼任打撃コーチに就任した師匠が、迷いが生じた時の道しるべになってくれた。
2軍スタートとなったキャンプだが、虎視眈々とチャンスを伺う。そのためには日南から“結果”を、1軍がキャンプを送る沖縄に届け続ける必要がある。休日だった19日も、球場に姿を見せ汗を流した。「打たないと使ってもらえない。もう、やるしかないので」。苦悩の2年間を糧に、22歳が逆襲のシーズンに臨む。
(真田一平 / Ippei Sanada)