日本球界へ「戻りたいと思っていない」 ロッテ戦力外→異国挑戦…34歳右腕の覚悟

メキシカンリーグに挑戦する国吉佑樹【写真:喜岡桜】
メキシカンリーグに挑戦する国吉佑樹【写真:喜岡桜】

今季はメキシカンリーグでプレーする元ロッテ・国吉佑樹

 2024年にロッテで24試合連続無失点の球団新記録を樹立するも、2025年オフに戦力外を告げられていた国吉佑樹投手は、今季、海を渡る。新天地となるメキシカンリーグのサルティーヨ・サラペメーカーズでの復活に向け、17日、レグザムスタジアム(香川県高松市)で今年4回目となるブルペンに立ち、メジャーやメキシカンリーグの公式戦で使用されるMLB球で22球を投げ込んだ。

 最速161キロの剛腕は淡々とした口調で「まだやめられないな」と気を吐いた。「(状態は)まだ30パーセントぐらいじゃないでしょうか。怪我の影響もありますし、プロ野球の世界にいる場合だと、春季キャンプの2クールまでにブルペンに4、5回は入れますし、シートバッティングでも投げることができるんですけど。今の僕には(練習をする場所や相手など)環境がないので、どうしてもペースが遅くなるんです」

 2025年は満ち足りないシーズンだった。春季キャンプ前に発症した肉離れをはじめ、怪我が相次ぎ、ファームで20試合に登板するも移籍後初の1軍登板なし。シーズン終盤には右足首を負傷し、オフに球団から戦力外を告げられていた。

「ちょっとどこかが痛かったり、コンディション不良がありながらの1年だったから、消化不良という気持ちがすごく大きかったんです。体はすごい健康なんです。(年齢などの影響で)なんだか体が動かなくて、もうここまでかなって気持ちになれれば、自分の中で納得できて、けじめみたいなものをつけられるんでしょうけど、自分はそうじゃない。ロッテの契約をとれなかったからって辞めたら、悔いが残るなって気持ちがすごくあったから」

 漠然とセカンドキャリアについて考えたこともあった。だが、「そういう答えも出ないまま終わったから」と胸のうちを明かす。今はまだ次へ進むタイミングじゃない。契約が終了する11月末まで球団施設で練習し、12月1日からは自力で野球を続けた。ボールを受けてくれる相手探しや、球場など公的な施設は夜間の利用ができず、年末年始は休業していたこととなど、プロ野球の環境と比較し、「どれだけ恵まれていたか」とポツリ。

「韓国でも台湾でも必要としてくれるなら」

 1月には山口県で身体を動かし、その後は、実家がある大阪府内の関西独立リーグ・大阪ゼロロクブルズが練習するときに球場の一角を使わせてもらい、自ら球場を借りることもあった。2月3週目は元DeNAの高橋塁トレーナーを頼り、四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズの春季キャンプの会場であるレグザムスタジアムを使用した。

「同世代の選手たちが数年前から引退していて、僕も含めNPBの球団から契約できないと言われているわけじゃないですか。40歳までプレーできればすごい人で、あと何年できるかも分からないので、メキシコからどうしても日本へ戻りたいとは思っていません。韓国でも台湾でも必要としてくれるなら。それに、この年齢から海外に行けるって、野球に限らず人生において、なかなかない経験だと思うし、貴重な機会だと思うんです」

 英語を読むことはできても、話すことはできない。スペイン語は全くだ。「例年よりも体の出来は遅いですけど、でも、メキシコでのキャンプが3月10日ごろなので。そう考えると、そこまで焦ることでもないのかなと思っています」と話すも、コミュニケーションへの不安はぬぐえない。しかし、今年35歳になる国吉に残された時間は多くない。新たな挑戦を楽しむと同時に、いつか必ずあがる“最後のマウンド”へ覚悟を決めはじめていた。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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