グラブの型が守備上達に直結? 余計な力みを排除…「ストレスをなくす」道具の工夫

GG賞4度、坂口智隆氏のこだわり…外野守備を次のステップへ導くグラブの型
外野手のグラブといえば、球際に強い「長さ」や「深さ」をイメージしがちだが、プロ野球の世界で20年間、第一線を走り抜けた坂口智隆氏のこだわりは、その一歩先を行くものだった。坂口氏が何よりも大切にしていたのは「捕球する際のストレスをいかに軽減するか」という点だ。道具へのこだわりが、いかにして高い守備力へと繋がっていったのか、その独自の理論を紐解く。
坂口氏のグラブの最大の特徴は、「柔らかさ」にある。外野手用としては珍しい薬指と親指で閉じるような型で、むしろ投手に近い。土手と親指の芯は硬く保ちつつも、それ以外は「グニャグニャ」と言えるほど柔らかく仕上げるのが坂口流だ。この柔らかさと少し小ぶりなサイズ感が、グラブを捕球時に意識的に閉じようとする余計な力みを排除し、送球への動作を自然に繋げるための鍵となっていた。
この型にたどり着いた背景には、名手との出会いがあった。オリックス時代の同僚で、ゴールデングラブ賞に4度輝いた谷佳知氏のグラブは「ペラペラ」だったという。「もう…くださいと」と坂口氏は衝撃を受けた。そこから15〜16年もの間、基本の型を変えることなく使い続けた。「グラブの先で捕ることはまずないですから」と語る通り、技術で打球を追い、芯で確実に捉える。その自信があるからこそ、究極の操作性を求めることができたのだ。
特筆すべきは、ゴロ捕球時の意識だ。バックホームなどの速いスローイングが求められる場面では、グラブの先にある「網(ウェブ)」に引っ掛けるようなイメージで捕球するという。これはグラブを立てて出すための意識付けであり、寝た状態で捕りにいくミスを防ぐための工夫だ。「ポンと出してあげる」ような感覚を大切にすることで、確実な捕球と素早い送球の両立を可能にしていた。
「どんなグラブを使うかは、プレーにおいてかなりのウエートを占めている」と坂口氏は断言する。それは単なる好みの問題ではなく、自分が「どうプレーしたいか」「どんな選手になりたいか」という理想像を道具に投影することでもある。まず、道具に対してストレスを感じないこと。その土台があってこそ、守備の技術は最大限に発揮される。自分に合った「相棒」を追求することが、守備力向上の第一歩と言えるだろう。
(First-Pitch編集部)
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