球数制限は「指導者が守れないからできたルール」 “時代の常識”試される学童野球大会

大会で優勝した愛知・木津ブライト【写真:橋本健吾】
大会で優勝した愛知・木津ブライト【写真:橋本健吾】

球数制限を敢えて設けない「オールジャパンベースボールリーグ小等部全国新人大会」

 学童野球において、子どもたちの肩や肘を守るための球数制限は今や常識となっている。しかし、2月21日~23日に愛知県で開催された「オールジャパンベースボールリーグ小等部全国新人大会」では制限を設けなかった。異例とも言えるが、大会事務局の河本直也氏は「子どもたちを守る役目の指導者に判断してもらう。ルールで縛らなくても当たり前の時代」と狙いを明かした。

 新チームの全国大会で優勝を飾ったのは地元・愛知の「木津ブライト」。3日間で計4試合を勝ち抜き、23日の準決勝、決勝戦は無失策と鉄壁の守備で頂点に立った。本大会ではトーナメントを勝ち上がる通常の大会だが、予選やルールで異なる部分がある。河本氏は「少しでも学童野球の選手たちが報われるように」と意図を明かす。

 この大会の予選は学童野球では珍しいリーグ戦を採用し、昨年3月から約半年をかけて出場チームを決定した。トーナメントは一度負ければ終わりだが、リーグ戦は試合数が確保される。「多くの子どもたちに公式戦を経験してほしい」と、河本氏はリーグ戦で得られるメリットを明かす。

 同大会は3月から予選が始まり、本大会は翌年2月。ほぼ1年かけて実施される。学童野球は毎月のように公式戦や大会があり、「日程調整が最も困難」とチーム運営者は悩みを明かす。だからこそ、予選期間を長く確保することで他大会との重複を避けられる。対戦チーム同士で日程調整し、試合を実施することで過密日程も防ぐことができる。

魚住フェニックス・熊崎清龍監督【写真:橋本健吾】
魚住フェニックス・熊崎清龍監督【写真:橋本健吾】

投手の球数制限は「今の時代、当たり前のこと」

 本大会では、投手の球数制限を設けていない。全日本軟式野球連盟が投球数のガイドラインを厳格化するなど、怪我防止への意識が高まる近年の潮流に逆光しているようにも見える。しかし、河本氏の考えは異なる。そもそも、球数制限とは「指導者が子どもたちを守れないからできたルール」と語る。

 だからこそ、主催者が制限を設けるのではなく、指導者の裁量に任せている。「連投はやめましょう、球数もしっかり注意しましょう。それは今の時代、もう当たり前のこと」と河本氏。ルールで縛らなくとも、日頃から選手の体を第一に考え、適切な起用ができる指導者がいるという信頼が根底にある。

 この大会でベスト4に進出した兵庫・魚住フェニックスの熊崎清龍監督は「うちのチームは一人だけじゃないし、一人に頼ることもしたくはない。全員で点を取りにいくし守りにいく。将来を潰してしまうことはしたくない」と語った。準決勝には2番手、3番手の投手を起用。勝てば決勝進出が決まる試合でも、決して無理はさせなかった。

 長期にわたる予選を勝ち抜き、全国舞台へ駒を進めたのは、球数や連投の管理を当たり前のように徹底しているチームばかりだったという。「子どもたちの将来を考えた大会作りをこれからもやっていきたい」と河本氏。昨年から始まった歴史の浅い大会だからこそ、臨機応変に対応できるのが強み。ルールに頼らずとも大人が子どもを守ることが、これからの学童野球における指導者のあるべき姿なのかもしれない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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