“初めての変化球”は何を覚えるべき? 投手が持つ9つのタイプ…見極めたい「成分」

投手の球質を評価するために把握すべき数値とは(写真はイメージ)
投手の球質を評価するために把握すべき数値とは(写真はイメージ)

元燕の左腕・久古健太郎さんが説明「回転数が多いからいい、というわけではない」

 投手の評価軸は球速表示だけではない。ヤクルトでサイド左腕として通算228試合に登板し、現在はライブリッツ株式会社でアマチュア野球チームに提供する「FastBall for Personalデータ計測サービスを担当する久古健太郎さんが、3月1日に行われたオンラインイベントに登場。中学生投手のデータを基にした「成長のロードマップ」を提示した。

 久古さんが強調するのは、最新の計測機器によって可視化される数値を、自身の「現在地」として正しく把握することの重要性だ。

「単に回転数が多いからいい、というわけではありません。自分のボールが重力に対してどれだけ抵抗できているか(ホップ成分)、あるいはどれだけ曲がっているか。その『変化量』を知ることが大切になってきます」

 久古さんによれば、ボールの変化量は「回転数(変化の大きさに影響)」「回転軸(変化の方向に影響)」「回転効率(変化の伝達に影響)」の3つの掛け算で決まるという。特に重要なのが「回転軸」だ。

 例えば、右上手投げの場合、時計の短針が示す「1時15分」より12時方向に近い角度で投げることができれば、縦の変化量(ホップ成分)を効率よく出すことが可能になる。逆に、サイドスローやスリークオーターのように軸が横に傾くほど、ホップ成分は減少する代わりにシュート成分が増していく。

ヤクルトで活躍した久古健太郎氏【写真:高橋幸司】
ヤクルトで活躍した久古健太郎氏【写真:高橋幸司】

大谷翔平は”標準スラ系”、山本由伸は標準系、今永昇太は伸び系

 久古さんは、この縦と横の変化量の組み合わせによって、投手を大きく9つのタイプに分類できると説く。(参考著書:『球速の正体』林卓史 著)

・伸びスラ系=希少なカット軌道で打者を詰まらせる球質(縦変化50センチ~、横変化~10センチ、村上頌樹タイプ)

・伸び系=ホップ成分が強く高めで空振りを奪える(縦変化50センチ~、横変化11~29セ
ンチ、今永昇太タイプ)

・伸びシュート系=球威はあるが見慣れた軌道(縦変化50センチ~、横変化30センチ~、佐々木朗希タイプ)

・標準スラ系=自然なカット回転が最大の武器(縦変化39~49センチ、横変化~10センチ、大谷翔平タイプ)

・標準系=器用で多彩な変化球を習得しやすいタイプ(縦変化39~49センチ、横変化11~29センチ、山本由伸タイプ)

・標準シュート系=内側に力が伝わりやすくゴロを打たせるのが得意(縦変化39~49センチ、横変化30センチ~、戸郷翔征タイプ)

・垂れスラ系=極めて珍しいカット軌道(縦変化~38センチ、横変化~10センチ、三上朋也タイプ)

・垂れ系=低めに集めて打たせて取るタイプ(縦変化~38センチ、横変化11~29センチ、藤浪晋太郎タイプ)

・垂れシュート系=横手投げに多く、独特の角度で翻弄する(縦変化~38センチ、横変化30センチ~、大勢タイプ)

縦変化量や横変化量を知った上で習得すべき変化球を見極める

「大谷選手を例に挙げると、実はホップ成分(縦の変化)はそれほど多くなく、自然とカット回転するのが特徴。山本投手は縦も横も平均的ですが、こういうタイプは器用で、あらゆる変化球を習得できるポテンシャルを秘めています」

 変化球が解禁される中学カテゴリーにおいて、この分類を知ることのメリットは、単なる自己分析に留まらない。例えば、縦の変化が強いタイプなら、その落差を生かすフォークや縦のスライダーが武器になりやすい。逆にシュート成分が強いなら、シンカーやツーシームと組み合わせることで相乗効果が期待できる。

 大切なのは、自分の直球がどの領域にあるかを認識すること。そうすれば習得すべき変化球は自ずと見えてくる。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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