守備力を劇的に高める「円陣キャッチボール」 低学年にお勧め…将来に生きる“方向感覚”

勝亦陽一教授推奨の「円陣キャッチボール」の様子【写真:編集部】
勝亦陽一教授推奨の「円陣キャッチボール」の様子【写真:編集部】

スポーツ科学の視点で紐解くトレーニング…“遊び感覚”で磨く「合わせる力」

 野球の基本練習として欠かせない「ボール回し」。通常は塁間で行われるメニューを、あえて手の届くような至近距離で、かつ複数のボールを使って行う「円陣キャッチボール」こそが、正確なハンドリング技術とチームの連係を高める最短ルートであると、東京農業大の勝亦陽一教授は解説する。

 この練習の核心は捕って投げるだけでなく、「全員の息を合わせる」点にある。例えば4人が至近距離で向き合い、一斉に隣へボールをトスする。さらに逆回転や、全員が移動しながらのキャッチを組み合わせる。ボールが1球であれば個人能力でカバーできるが、複数が同時に動く状況では、全員が同じリズムで動かなければ即座に破綻する。この「合わせる」感覚が、実戦での併殺プレーや、一瞬の判断が求められる中継プレーの土台となる。

 技術面では、至近距離ゆえに無駄な動作が削ぎ落とされるメリットがある。素早いトスを繰り返すうちに、選手は自然と片手キャッチや柔らかいハンドリングを身につけていく。また、あえて「投げにくい方向」へ回すことで、体を相手に向ける基本動作や、苦しい体勢からの正確なトスが磨かれる。勝亦教授は「この90度の方向感覚を小さな距離で体に染み込ませることが、将来的な塁間での正確なプレーに直結する」と重要性を説く。

 この練習は「周辺視野」と「危機回避能力」も育む。自分だけでなく周囲の動きをなんとなく察しながらプレーする感覚は、外野手同士の衝突回避や、走者の動きを感じながらの守備に欠かせない。一人で完結するプレーは野球には存在しない。相手を思いやり、状況を察しながら動くという「チームワークの本質」が“小さな輪”に凝縮されている。

 練習の導入として、まずは遊び感覚で楽しむことから始めてほしい。人数を増やし、距離を広げていく過程で、自然と声が出て、チームの心も一つになっていくはずだ。「捕る・投げる」という個のテクニックを、いかに「チームの力」へ昇華させるか。勝亦教授が推奨するこのメソッドは、技術向上とチームビルディングを同時に叶える、現代野球にふさわしいトレーニングといえるだろう。

(First-Pitch編集部)

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