“普及問題”を解決する「新型ベースボール」 道具も所属も不要…負担軽減の3秘策

子どもたちが主役になる“体験”…未来の選手を育む環境の整え方
野球界における競技人口減少の食い止めは大きな課題だが、初心者親子にとっての“敷居の高さ”を下げるには、どのような方法があるだろうか。少子化の時代に現状を打破するため、既存の枠組みに捉われない「ベースボール型競技」が注目を集めている。野球の楽しさを伝えるための入り口を広げ、裾野を拡大する取り組みのいくつかを紹介したい。
・野球を始める際にかかる道具代や、家庭への経済的負担をどう軽減するか。
・初心者が、ルールを理解しながら試合で得点する喜びを味わうにはどうすれば良いか。
・チーム加入のハードルを感じている親子に、気軽な参加の形をどう提示できるか。
日大三高のエースとして2011年夏の甲子園優勝の経験を持つ吉永健太朗さんが、普及に力を入れているのが「Baseball5」(ベースボール5)だ。1チーム5人制の“手打ち野球”で、バットやグラブといった高価な道具を一切必要とせず、専用のゴムボール1つで始められるのが魅力だ。吉永さんは、道具を揃える十数万円の出費がネックとなっている現状を心配しており、この新競技を野球への興味を持ってもらうための「入り口」と位置づけている。2026年のユース五輪種目にも採用されるなど世界大会も開催されており、野球界にとっても裾野を広げるための追い風になると期待を寄せている。
DeNAが実施する「BT(ビーティー)ボール」は、ティースタンドに柔らかいボールを乗せて打つ「ティーボール」を改変した“ベースボール型競技”だ。未就学児から小学2年生までを対象とし、空振りの三振をなくして何度でも打ち直せるなど、球団の監修により、得点する喜びを最優先に設計されている。バットを所定のボックスに置くだけで1点が入る、柵越えで10点が入るといった斬新な加点方法は、初心者の子どもたちを夢中にさせている。野球の敷居の高さを取り除くために「遊び」から入る観点で、イベントには約3000人の応募が殺到するほどの大きな反響を呼んでいるという。
小学3、4年生の野球人口拡大への貢献で、北海道で注目を集めているのが「SUNYON(サンヨン) BASEBALL」だ。ティーボールと野球を掛け合わせ、経験者も未経験者も楽しめる独自ルールを設けているのが特徴。例えば、1イニングに必ずティースタンドを使用する場面を作ることで、未経験者が打てない悔しさを解消している。道具の貸与やTシャツの支給により、野球チームに所属していない子も気軽に参加でき、親子の負担感を最小限に抑えている。単なる野球教室よりも「試合」という場こそが、子どもたちを少年野球チームへと導く大きなきっかけになる。
既存のルールを柔軟に変えていく姿勢は、野球の未来を守るために欠かせない。まずは、子どもたちの「楽しい」という純粋な感情を、いかに育むことができるか。温かいアプローチが、次世代の選手を育てる再現性の高い解決策になる。
・Baseball5のような道具不要のベースボール型競技を活用し、初期費用の壁を取り払う。
・打ち直し可能なルールやティースタンド併用など、未経験者に成功体験を味わせる工夫をする。
・チーム所属を条件としない大会や、用具貸与のあるイベントを増やし、心理的ハードルを下げる。
(First-Pitch編集部)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/