高学年からの動作修正は「記憶が邪魔する」 学童名将が取り入れる“逆アプローチ”

多賀少年野球クラブ・辻監督と東農大・勝亦教授が語る「幼児・低学年指導」
野球を始めたばかりの子どもたちにとって、手始めに正しい技術を習得することは極めて重要だ。「幼児から小学校4年生ぐらいまでの教え方がものすごく大事」と語るのは、全国制覇3度の「多賀少年野球クラブ」辻正人監督と、発育発達を科学的に研究する東京農業大の勝亦陽一教授。2人は野球の“入口”における指導が肝心と強調する。
幼児や小学校低学年の子どもへの指導が重要な理由は、“自己流”で間違った動きをしていた場合、それがインプットされ自動化されるからだ。勝亦教授は、自動化された動きを修正し、新たに自動化させるには「めちゃくちゃ時間がかかる」と説明。辻監督は、自己流の動きが染み付いた高学年の子どもについて、「記憶された動作が邪魔するんですよね」と語る。
こうした選手に対して、利き腕とは逆の腕で投げさせたり逆の打席で打たせたりして、ゼロからスタートさせるアプローチを辻監督は取る。理解力の高さを生かし、新しい動きとして覚え直させるのだ。ただ、このような措置を取らなくても済むように、3年生や4年生くらいまでに正しい投げ方や打ち方を習得する必要がある。
勝亦教授も、新しい動きを身に付ける段階で適切な動作を習得しておくことが理想と語る。基本技術を会得していれば体が成長して大きくなっても、選手自身で修正することが可能になる。早い段階で正しい技術を身に付けることは、その後の成長過程に大きな違いをもたらすのだ。
適切な技術習得は、次のステップへ進む上での鍵となる。少年野球で戦術の領域に入るには土台が不可欠。4年生くらいまでに技術を身に付け、5年生や6年生で野球の戦術理解に入っていく。この育成サイクルが、子どもたちの可能性を広げていく。
(First-Pitch編集部)
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