成績向上に学習塾通いは必要か 親は安心感も…「とりあえず行かせる」で陥る“地獄”

慶応・早稲田OBが語る…“主体性”がなければ勉強も身につかない
慶応高で2008年春夏の甲子園に出場した兄・鈴木裕司さんと、早稲田実業で2010年夏の甲子園出場を果たした弟・健介さん。東京六大学野球でも活躍し、一流企業に勤務しながら、野球関連の事業も展開する二人は、文武両道を体現してきた存在だ。多くの野球少年の保護者が悩む「学習塾に通わせるべきか」という問いに対し、自らの経験をもとに見解を示している。
二人は、学習塾を否定しているわけではない。しかし、裕司さんは「目標次第かなと思います」と指摘する。自分たちは学校の内申点やテストを勉強の中心に据え、日頃の授業や先生とのコミュニケーションを重視したという。塾を検討する前に、まずは何のために勉強するのかという目的意識を明確にすることが、成果を出すための大前提となる。
弟の健介さんは、塾はあくまで手段であり「行くことが目的ではない」と指摘する。親に言われるがまま通っている周囲の選手たちは、知識が身についていない様子だったという。「自分が必要としてないと、教えられることが入ってこない」と実感を込める。本人が必要性を感じないまま通い続け、行くこと自体が目的化してしまう状態を「地獄」と表現して警鐘を鳴らす。
具体的な塾入会のタイミングについて、裕司さんは「やりたいから能動的にやる」というマインドセットができた時だと語る。実際に兄弟が塾に通ったのは、中学3年生の受験前など、自ら必要性を感じた短い期間だけだった。「やらされてやるもんじゃない」という自発的な姿勢があって初めて、塾という環境が実りある時間に変わる。
保護者は、子どもを塾に入れることで安心感を得がちだが、通わせるだけで点数が上がるわけではない。大切なのは、親子で目標を共有し、本人が「行きたい」あるいは「必要だ」と思える状況を待つことだ。もちろん、親子で「不要」と感じるならば、高いお金をかけて通わせる必要もない。親は「やりたいと思うんだったら行っといで」と背中を押すサポーター役に徹することで、野球も勉強も主体的に取り組む姿勢が育まれていく。
(First-Pitch編集部)
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