“放置”される子どもたち…学童野球が抱える課題 名将が警鐘「本来は一番重要」

多賀少年野球クラブの辻監督が「少年野球パパコーチ講座」の講師として登場
野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が6日、少年野球に関わる“パパコーチ”のためのオンラインイベント「少年野球パパコーチ講座」を開催。学童野球の名将として知られる多賀少年野球クラブ・辻正人監督を講師に招き、チームに「どう関わるべきか」の視点で解説した。
今回のイベントには現役のパパコーチが登場し、チームに携わるきっかけや野球未経験だからこその悩みを率直に明かした。神奈川県の学童野球チームでコーチを務める神谷祥仁さんは野球未経験ながら、息子が入団した際に監督から「コーチが不足しているのでお願いできませんか?」と要請され、引き受けた。
野球のことは無知だったが、少しでも役に立ちたい思いで書物やYouTubeなどで“猛勉強”するも、当初は自問自答の日々だったという。「コーチになるからには役に立ちたいと思うのですが……。どうしても最初は先輩のコーチや監督さんから初心者の色眼鏡で見られているような気がして。何かするにしても、僕の役割じゃないのかなと思うことはありました」。
だが、低学年の指導を任せられたことで状況は変わった。当初はシートノックなどの実戦的な動きは分からなかったが、野球の基礎になる動きは勉強していたため、多少は理解できていた。「ここがエラー動作だなという動きが少しずつ見えてきた。フォーメーションは分からないが、基礎的な動きは分かってきたので『低学年をやらせてください』と伝えました」。野球を基礎から学んだことで、“居場所”を見つけた。
「分からない所は監督に任せると割り切っていい」
今年で指導歴38年目を迎え、全国制覇を3度達成している辻監督は、神谷さんの行動力を絶賛。「未経験の方は正しいのか、正しくないのか迷ってしまう。正しいのを教えるのが正義となると、言葉を発しにくくなる。分からない所は監督に任せると割り切っていい。子どもたちと一緒に学んでいくのがパパコーチの学びだと思う」とアドバイスを送った。
また、辻監督は野球初心者や低学年の指導が「重要」と説明した。長年の経験から1年~3年生の低学年は練習でも放置されがちだとし、「伸び率が高くて本来は一番、重要な場所。そこで下手すると子どもは野球をやめてしまう。早い時から投げるなど基礎動作をやることで、ステップアップできる」。子どもたちを楽しませる“引き出し”や基礎知識がないと、低学年の指導は務まらないと強調した。
「指導者は采配をしたいだけ、という人が多い。試合を動かしたい人が多い。でも、本来はそうじゃない。そこのプロフェッショナルになれば、チームは離さなくなる。子どもたちの好奇心を逆手にとって指導していくことが大事です」
学童野球には多くの“パパコーチ”がいる。将来ある子どもたちを指導する責任感と覚悟は不可欠だ。「送り出していく立場になり次のコーチ、指導者に託していく。その流れができれば子どもたちはもっと成長していく」と辻監督。今回の「少年野球パパコーチ講座」は4月11日にも行われる。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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