罵声は「問題外」も…必要な“大声” 学童名将がパパコーチに伝授、低学年指導の極意

多賀少年野球クラブ・辻正人監督がパパコーチに伝授した“大声指導”の重要性
「世界一楽しく! 世界一強く!」を掲げ、2018、2019年に「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」で連覇を飾るなど、日本一に計3度輝いている多賀少年野球クラブ(滋賀)・辻正人監督が11日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」の「少年野球を支える『パパコーチ』のための集中講座」に出演。世のパパコーチたちが抱く「厳しさ」の概念を根底から覆した。
辻監督はまず、選手に罵声を飛ばすことは「問題外」と断じる。しかし、それは決して「静かに見守るだけ」という意味ではない。試合中、初心者の多いジュニア世代に対しては、大声を張り上げて指示を出す「動の教育」を提唱する。
「駆け出しのチームの場合、早め早めに『こういうケースが考えられるよ!』など、適切な予測を大声でかけてあげることが大切です。反省の声はベンチに帰ってからでいいんです。予測の声をどんどん出して、選手たちに『気づき』を示してやることが大切です」
大声を上げての指導に抵抗のある選手や保護者もいるだろう。ただ、グラウンドという広い空間では、相応の声量を出さなければ選手には届かない。挨拶や返事といった礼儀の基本はもちろん、TPOをわきまえた上で、指導者と選手が大きな声で確認し合うこと。この熱量の共有こそが、子どもたちの「気づき」を呼び起こす最初のスイッチとなる。

教えすぎを卒業して促す自立…高学年には「静の教育」へステップアップ
低学年のうちに「動の教育」で予測の重要性を理解させた後、高学年、特に最上級生に対しては「静の教育」を求める。「指示を出して動けるようになったら、今度はあえて黙り込む。子どもたちが自分たちで準備できているか。『今日は何も指示しないから、先を予測して動けよ』といった教育に入るんです」
パパコーチが陥りがちな“罠”は、いつまでも「動」のまま、答えを教え続けてしまうことだ。これでは選手たちがいつまで経っても「指示待ち」状態となり、自ら考えることができない。
現場での大きな声は、威圧のためではなく、あくまで「気づきの共有」のため。その最終ゴールは、指導者が黙っていても選手自ら動き出す状態を指す。このステップアップこそが、子どもたちの成長を促し、チームを勝利に導く近道となるのだ。
「大切なのは大人の都合に子どもを合わせないことです。子どもたちの反応を見て分かることは本当にたくさんあります。予測できる選手を育てるために、まずは大きな声を出して指導してあげることが大切です」
選手が主役のグラウンドで、パパコーチたちがどう振る舞うべきか。大声で導いた後は、静かに見守る。その絶妙なバランスの中にこそ、多賀少年野球クラブが証明した「世界一楽しく、強い」チーム作りの極意がある。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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